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株価急落、反捕鯨活動家…スイスのメディアが報じた日本のニュース

ディーリングルームの株式相場掲示板
5日の東京株式市場で日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録 EPA/KIMIMASA MAYAMA

スイスの主要報道機関が先週(7月29日〜8月4日)伝えた日本関連のニュースから、①日経平均株価の大幅下落②反捕鯨活動家ポール・ワトソン氏に引き渡し要請、の2件を要約して紹介します。

「スイスのメディアが報じた日本のニュース」は通常、前週月曜から日曜までに掲載・配信された記事をご紹介していますが、今回は臨時で5日月曜朝の東京株式市場に関する記事もお伝えします。

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日経平均株価の大幅下落

5日の東京株式市場では日経平均株価指数が前週末比4451円(12%)安と大幅下落し、終値ベースの下げ幅は過去最大となりました。欧州市場が開く前のスイス時間5日朝、ドイツ語圏のNZZとターゲス・アンツァイガー、フランス語圏のル・タンなど大手各紙が解説記事を配信しました。

NZZはシンガポールや韓国などアジア全域で株価が下落する中、「アジア最大かつ最も流動性の高い証取である東京の株式相場が特に大きな打撃を受けた」と伝えました。また「最近の金融市場の混乱に対して東京ほど強く反応している証券取引所は他にない」とし、その理由として「日本の資本にとって世界経済と為替変動が最も重要な原動力である」点を挙げる日本在住の経済学者イェスパー・コール氏の見解を紹介しました。

相場の今後については「日米の急な金利反転により円高が解消された可能性があり、市場は不安定な状況が続くと予想する向きもある」と指摘し、日米金利差が来年には大幅に縮小する可能性があると予想する投資家が増えていると伝えています。

ターゲス・アンツァイガーは東京市場の急落について「米国の弱い統計に加え、(日銀の)追加利上げやそれに伴う円相場への懸念も日本にとって重荷になっている」と解説。中東紛争の激化や米景気後退への懸念も投資家がリスク回避を急ぐ要因だと説明しました。市場の混乱はビットコインの急落や安全通貨フランの上昇にもつながっています。

ル・タンは、米国の7月製造業景況感報告書が発表され、それに伴う同セクターの成長の見通しに対する疑念がテクノロジー株の下落に影響を与えたなど、下落にはさまざまな要因が絡んでいると報じました。

さらに、東京市場では米雇用統計が発表される以前から史上2番目に大きな下落を記録していたことを指摘。豪FX業者のペッパーストーンのストラテジスト、ディリン・ウー氏の「足元のリスク回避をもたらした直接の引き金は、日銀が7月31日に発表した予想外の利上げにあるようだ。この決定は青天の霹靂へきれきのように日本株式市場を襲った」というコメントも紹介しました。

同紙は日本株に特化した投資顧問Asymmetric Advisorsにも取材し、ストラテジストのAmir Anvarzadeh氏は「日経平均株価に反映される輸出・多国籍企業にとっての円安メリットの多くは、過去のものになったとみている」と述べました。(出典:NZZ外部リンクターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語、ル・タン外部リンク/フランス語)

反捕鯨活動家ポール・ワトソン氏に引き渡し要請

グリーンランド警察が先月、日本の要請を受けて反捕鯨活動家のポール・ワトソン氏を逮捕したことはスイスでも話題に。デンマーク法務省が1日、日本から同氏の引き渡し要請を受け取ったと発表したことで再びニュースになりました。

NZZはワトソン氏が「数十年にわたり、物議を醸す手法で捕鯨業界と戦ってきた」と位置づけ、同氏の設立した捕鯨団体シーシェパードが高速船で日本の捕鯨船団に衝突した2010年の事件などを詳しく紹介。2010年当時は「シーシェパードの反捕鯨闘争は最高潮に達していた」とし、日本がアイスランドやノルウェー同様に捕鯨を自国の領海に制限し始めたと説明しました。

また「ワトソン氏が司法と問題を起こすのはこれが初めてではない」ことも紹介。国際NGOグリーンピースに設立当初から所属していたものの、「同氏の手法はグリーンピースにとって過激すぎた」ため追放されたと伝えています。その後設立したシーシェパードが過激な反捕鯨活動を続けたことを詳報し、ワトソン氏を「エコテロリスト」と呼ぶ人もいると指摘しました。

一方、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)はデンマーク警察が引き渡しの是非を判断すべく捜査し、最終決定は同司法省に委ねられることを淡々と解説。ワトソン氏が2010年の事件で「損害と負傷を引き起こした」ことで指名手配されたとだけ伝えました。

フランス語圏の大衆紙ブリックは、エマニュエル・マクロン仏大統領がデンマーク当局に対し引き渡ししないよう要請したことにも触れました。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語、RTS外部リンクブリック外部リンク/フランス語)

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先週、最も注目されたスイスのニュースは「コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に」(記事/日本語)でした。他に「エルメス相続人の資産が行方不明に」(記事/英語)、「パリ行き高速鉄道が悪天候で運休」(記事/英語)も良く読まれました。

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は8月12日(月)に掲載予定です。

校閲:宇田薫、上原亜紀子

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