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関税交渉、立ちんぼ、抹茶ブーム…スイスのメディアが報じた日本のニュース

歌舞伎町
歓楽街として知られる新宿・歌舞伎町にほど近い大久保公園は、「立ちんぼ」の中心地として知られる EPA/KIMIMASA MAYAMA

スイスの主要報道機関が先週(4月14~21日)伝えた日本関連のニュースから、①日米関税交渉、進展なし②「立ちんぼ」が呼び込む外国人観光客③スイス人日本茶専門家が語る抹茶ブーム、の3件を要約して紹介します。

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日米関税交渉、進展なし

ドナルド・トランプ米大統領が求める相互関税をめぐり、赤沢亮正経済再生担当相が16日、ワシントンでトランプ氏らと会談しました。世界に先駆けての個別交渉とあってスイスのメディアでも注目されました。

フランス語圏のスイス通信社Keystone-ATSは「日本との初協議は進展なし」と題して、赤沢氏が米国の立場に関する即時の進展について語らなかったことを伝えました。ただ「今後の協議は容易ではないだろうが、トランプ大統領は日本との交渉を最優先する意向を表明している」として、依然対日交渉の行方に注目しています。

SPIアセットマネジメントのスティーブン・イネス氏はATSに「これは『炭鉱のカナリア』のようなものだ。日本が合意に至れば、たとえ合意の半分でも、(他国に)可能性はある。もし日本が手ぶらで去れば、他国は対立を優先し始めるだろう」と述べました。

ドイツ語圏のスイス通信社Keystone-SDAは「米国、90日以内に対日合意を目指す」との見出しで、米国は「できるだけ早く」合意に達することを望んでいるとする赤沢氏のコメントを伝えました。(出典:Keystone-ATS/フランス語、Keystone-SDA/ドイツ語)

「立ちんぼ」が呼び込む外国人観光客

街頭で売春目的の客待ちをする「立ちんぼ」が違法行為として、また女性の貧困の観点から社会問題になっています。フランス語圏の無料大衆紙20min.は、立ちんぼが外国人観光客をひきつける要因の1つと指摘する記事を掲載しました。

女性支援団体「レスキューハブ」の坂本新(あらた)代表は同紙に、コロナ禍以降若い女性が低価格で性的なサービスを売るようになったと説明。「外国人客が増えた理由の一つはこれだと思う」と語りました。

TikTokやBilibliなど中国の動画投稿サイトでは、性行為を無断撮影した動画が投稿されたり、ライブ配信されたりしており、再生回数は数十万回にのぼるといいます。大久保公園(東京都新宿区)で立ちんぼをする28歳の女性は、こうした動画により「本物の観光名所」に変貌したと話しています。

この女性の客の半数は観光客で、この数カ月は外国人からの声掛けが増えているそうです。「日本人よりも外国人顧客を選ぶ方が安全になった。少なくとも私服警官ではないことは確実だから」。警視庁が昨年12月からパトロールを強化していますが、思わぬ副作用を生んでいるようです。(出典:20min.外部リンク/フランス語)

スイス人日本茶専門家が語る抹茶ブーム

今、世界には空前の抹茶ブームが訪れており、宇治抹茶は昨秋から品薄状態に。フランス語圏の大衆紙24 heuresはスイス西部ローザンヌで日本茶専門店「MARUtCHA まる茶 thé japonais」を営むダヴィッド・ヘレルさんに、抹茶の人気の秘密を尋ねました。

ヘレルさんは「日本人は抹茶をほとんど消費しない。最高品質の抹茶は茶道や料理用に取っておかれることが多い」と指摘し、日本人が最も多く飲んでいるのは煎茶だと解説します。

記事は「つまり、毎日ベッドから起きてすぐに抹茶を淹れるという、インフルエンサーが伝えるイメージは、完全に西洋の発明だ」。2005年に米コーヒーチェーンのスターバックスが日本で抹茶ラテを発売し、米国や欧州にも広がった「スターバックスショック」が起きたことも紹介しました。

ヘレルさんは抹茶を急に増産できない理由には、スイス西部ラヴォー地区のワイン用ブドウ作りと共通するものがあると話します。「機械化があまり進んでいない作業で、需要にすぐ追い付かない」。スイス産ワインは生産量が少なくほとんどが国内で消費されるため、スイス以外ではなかなか飲むことができません。

ヘレルさんは茶畑から抹茶を作るには5年以上かかること、茶農家の61%は65歳以上で伝統農法に固執していることも増産が難しい理由に挙げています。「最高の抹茶を薄めてラテにするなんてもったいない…」と嘆くヘレルさんは、消費者の目を抹茶以外にも向けようと、水出し緑茶など他の日本茶の普及に取り組んでいるそうです。(出典:24 heures外部リンク/フランス語)

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話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博」(記事/日本語)でした。他に「ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ」(記事/日本語)、「スイス警察、高速道路でキャラバン車列を封鎖」(記事/英語)も良く読まれました。

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は4月22日(月)に掲載予定です。

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校閲:大野瑠衣子

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