ベルンでフェデラーとテニスの祭典
今日から3日間、ベルンでデビスカップが開催される。スイスはポルトガルと対戦するが、大会開催を知らせるポスターは中身に比べるとなんとも味気なく見えるほどだ。
ロジャー・フェデラーとスタニスラス・ワウリンカは一流のテニスの腕を披露してくれるだけではなく、16のグランドスラムタイトルとオリンピック金メダルも引っ下げてくるのだから。
世界に向けたスイス大使として誰が最適かというアンケートを行ったら、テニス界のチャンピオン、フェデラーが選ばれるのはほぼ間違いないだろう。ATP世界ランキングでは3位に落ちてしまったものの、グランドスラムのタイトル数でフェデラーに勝るプレーヤーはいない。また、最も完ぺきなプレーヤーとしても男子テニスの歴史に新しい時代を開いた。
コート上での数々の勝利、何億フランにも上る賞金、そして栄光と人気のすべてを手に入れても、フェデラーの足はしっかりと地についたままだ。スイスのファンにとって物足りないことがあるとしたら、それはただ一つ。フェデラーを見るのはほとんどテレビでのみということだ。例外は毎年晩秋にフェデラーの故郷バーゼルで開かれるテニスの大会、スイス・インドアーズ・バーゼルへの出場だ。
だが今週末、男子テニスの各国代表チームが競うデビスカップの大会で、スイスのファンは貴重な機会を得ることになった。
勝利はほぼ確実
ベルンの大会にはワウリンカもやってくる。現在、世界ランキング14位で、2008年の北京オリンピックではフェデラーとダブルスを組んで見事金メダルを獲得した。この2人に加わるのは、今年30歳になるマルコ・チウディネリと間もなく28歳になるステファン・ボーリ。キャプテンはこれまで通りセヴェリン・リュティが務める。
実力からみれば、スイスチームは確実にポルトガルを打ち負かせるはずだ。ポルトガルチームを引っ張っているのはフレデリコ・ジルとルイ・マシャド。それぞれ世界ランキングでは91位と98位と、スイスの金メダルペアに大きく水をあけられている。
フェデラーはポルトガルを甘く見てはならないと警告するが、「彼らはクレイコートで強みを発揮するチーム。今回のハードコートでの試合はこちらに有利」と分析する。また、地元での試合である分、ファンの力強い応援を期待している。
アイスからテニスへ
会場となるポストファイナンス・アリーナ(PostFinance Arena)はこれからの3日間、テニスの殿堂と化す。冬になるとアイスホッケー用に氷が張られる場所に、淡いブルーのハードコートが敷き詰められる。この処置でボールの飛ぶスピードが速くなり、試合の面白さが増す代わりに、収容観客数は1万7000人から8000人に減少する。
だが、この人数でも盛り上がりに欠けることはないはずだ。今日、7月8日の金曜日にはシングルスが、翌9日にはダブルスが行われる。最終日の日曜日10日には再びシングルスの試合が行われるが、フェデラーとワウリンカがそれぞれシングルスで勝ち、ダブルスでも勝てば、土曜日には勝利が明らかになる。
選手はコーチ兼キャプテンのセヴェリン・リュティが選択する。対戦相手はくじで決められる。
7月8日(金):シングルス第1戦(13時開始。ワウリンカ対ジル)
シングルス第2戦(第1戦終了の20分後。フェデラー対マシャド)
7月9日(土):ダブルス(13時開始。フェデラー/ワウリンカ対ジル/タヴァレス)
7月10日(日):シングルス第3戦(12時開始。フェデラー対ジル)。
最終戦(第3戦終了の20分後。ワウリンカ対マシャド)
スイスは2010年9月にデビスカップのワールドグループから落ちた。
当時の対タザフスタン戦に、ロジャー・フェデラーは疲労のため出場していなかった。
2010年、フェデラーは1999年以来ずっと出場し続けていたデビスカップに初めて不参加を決めた。
今回の対ポルトガル戦で勝ち、残りの決定戦でも勝てば、スイスチームは再びワールドグループ入りを果たせる。
(独語からの翻訳・編集、小山千早)
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。