男性間のラブストーリーを描いた女性向けの漫画ジャンル「やおい」が、スイスの10代の少女たちに人気だ。日本では20年以上前からポピュラーだが、今や独自の文学ジャンルとして海外に市場を拡大している。「子供と性について語る良いきっかけになる」と話す親もいる。
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スイス西部ローザンヌにある日本の漫画やアニメ専門の「タニガマ書店」は、一つの棚全体を「やおい」コーナーにしている。主に若い女性に人気だ。男性間の同性愛がテーマだが、同性愛者の間では人気がない。
「やおい」は女性が女性向けに描いた漫画作品だ。女性読者は、女性と言えば男性に従順な存在、として描かれる既存の漫画に嫌気が指したため、「やおい」の人気が上がったという。
性についての対話
フランス語圏のスイス公共放送(RTS)は「やおい」のファンという13歳のルシールさんを取材。ルシールさんは「私はかわいいと思う。この漫画を読んで、誰からも強制されないで選ぶという、開かれた精神を持つことの大事さを教えてもらった」。
母親のモナさんは、「やおい」が性的思考やジェンダーについて対話する良いきっかけになると話す。「自分の性的指向に疑問を抱く若者がいるかもしれない。そういう子たちが、彼らのような存在を馬鹿にせず、真面目に向き合う漫画があるんだと知ったら、きっと安心するかもしれない」。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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