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ヒンギス、フェデラーや家族への思い語る

スイスインフォのインタビューに応じるヒンギス
スイスインフォのインタビューに応じるヒンギス swissinfo.ch

スイスが誇る女子テニスのマルチナ・ヒンギスが今年2月の引退後、スイスインフォのインタビューに応じた。足の負傷によりわずか22歳で第一線を退いた元世界女王は、「医療の奇跡」が起こらない限りプロテニス界に戻ってくることはないと発言。同じスイス出身で今年、4大大会を初めて制した1歳年下のロジャー・フェデラーについても語った。

 足首を負傷し、長期離脱を余儀なくされた元世界女王は今年2月、わずか22歳で現役生活に幕を下ろした。

 再び現役復帰するのではないかという憶測も飛び交うが、ヒンギスは引退後の人生に集中したいと強調する。スイスインフォはジュネーブ近郊のテニスクラブで、ヒンギスにインタビューした。

スイスインフォ: もうプロテニス界には復帰しないと断言できますか?

マルチナ・ヒンギス: 人生に「絶対」はない。引退は難しい選択でした。医療の奇跡が起こらなかったから・・・。

どちらにせよ、コートから離れる時間が長くなるほど、トップ選手の中に戻るのは難しくなる。テニスは常に変化しています。それがテニスだから。プロ人生の中で多くの素晴らしい機会に恵まれたから、つらくはない。

けれど、いまは全仏オープンやウィンブルドンで戦うのは厳しい。

コートに戻って、私が以前のレベルでプレーでき、あの特別な雰囲気を感じられたらと思うけれど、それはもう無理。だから別のことをします。

スイスインフォ: 数年前に引退したモニカ・セレシュやジェニファー・カプリアティ(いずれも女子のトップ選手)とはまだ連絡を取っていますね。この二人は今、現役復帰しています。彼女たちから、引退ではなく数年間休養するだけにしたら、とは言われないのですか?

ヒンギス: 引退は私の決断じゃない、私の体がそう求めたからです!この数年間、色々な手術を受けて、それがすごくつらかった。ここで引退しなければ、スポーツはもちろん、歩けなくなっていたかもしれない。でも、けがさえしていなければ、絶対に引退なんかしません。

振り返れば、テニスから多くのものをもらった。これからは、違う生き方を学ばなければいけない。今いろいろなことを勉強しています。例えば乗馬にすごく情熱を注いでいる。スポンサー関連の仕事で世界中を飛び回ってもいます。

それから、これまでさまざまな活動に参加させてもらったから、その恩返しもしたいと思っています。

スイスインフォ: 試合から離れて寂しいですか。

ヒンギス: 私にとっては毎日が戦いです。特に、勉強に関してはね。実際、大事なのはそういう心理状態であること。自分の能力をフルに発揮して何かに進んで挑戦する。そういう人生の心構えを、新しい人生で持ち続けていきたい。

スイスインフォ: ポルシェ・テニス・グランプリ(WTAツアーの大会)で優勝したことがあなたのテニス人生の出発点でした。奇妙な偶然というべきか、2001年にあなたが初めて重いけがをしたのも、2002年10月のラストマッチもこの大会でしたね。

ヒンギス: 言われてみれば、確かにそうですね。プロになって初めて試合をしたのはチューリヒだったけれど、初めてタイトルを取ったのはFilderstadt(開催場所のドイツの都市)でした。

あえて言うならば、勝利と敗北がいかに表裏一体かということですよね。

スイスインフォ: 一番良かったこと、つらかったことは何ですか。

ヒンギス: そういう思い出はないです。初めて出場したグランドスラム(4大大会)、勝ち負け、あらゆる場面で色々なことを学んだので。

トップの世界では、成功と敗北の間にはっきりした境界線があります。でも、だからと言って生死に関わるわけではないし、いくらでも他のチャンスがあったから。

スイスインフォ: スイス人選手として初めて4大大会のタイトルを優勝し、歴史に名を残しました。今年のウィンブルドン選手権で優勝したロジャー・フェデラーについてどう思いますか?

ヒンギス: 私がこの道を切り開いて来れたことは嬉しく思います。彼が優勝したことは素晴らしいですね。その瞬間の気持ちは良く分かる。「ついにやったぞ!」と思えるんです。彼には、世界ランク1位獲得に向けて頑張って欲しい。

類まれな能力を持ち、そして後進の手本となる選手がいることは、スイスにとって良いことです。

スイスインフォ: あなたは8歳でスイスに来ました。現在、スイスと米国フロリダの家を行き来する生活です。どちらがあなたにとっての「我が家」ですか。

ヒンギス: フロリダの家はただ所有しているだけ。以前、トレーニングするのに理想的だったので。いまは休暇か米国に用事があるときしか行っていません。

スイスインフォ: これまでずっと、母親がコーチとして二人三脚で来ました。もし子供ができたら、子供にテニスを教えますか?

ヒンギス: 母親とはうまくやってきたし、今もそう。良い友達です。家族は何よりも最優先だし、私にとって一番大切なもの。この二つを一緒に出来たら最高ですね。

子供が出来たら、何らかの形でスポーツに関わらせたい。だって人生の良い学び場だから。その後、スポーツの道に進むか否かは本人に任せます。

スイスインフォ: 最後に、今テニスコートに足を踏み入れるとしたら、もう一線は越えませんね?(ヒンギスは1999年の全仏オープン決勝でシュテフィ・グラフと対戦した際、自身が放ったショットを審判がアウトと判定したことに猛抗議。タブーとされているにも関わらず相手コートに入り、大きな批判を浴びた)

ヒンギス: 絶対しない。そんな古い迷信は、今後の人生ではありえません。

(英語からの翻訳・宇田薫)

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