アフガニスタン、国の半分以上が戦火に覆われる
アフガニスタンの首都カブールに駐在する赤十字国際委員会 ( ICRC, 本部ジュネーブ ) の派遣団団長、レト・シュトッカー氏は9月13日カブールから一時帰国し、ジュネーブで記者会見した。
シュトッカー氏によると、戦火は激化すると同時に広がり、国の半分以上に及ぶという。
シュトッカー氏によると、 紛争地域は2004~2005年までは南部に限定されていたが、2007年に入って南西部と東部に、さらに最近、北部にも及び首都カブール近くまで広がってきているという。「NGOや国連などの緊急人道支援が入り込めない地域 (ノーゴーエリア) も増えている」とシュトッカー氏はアフガニスタンの紛争の状況を語った。
一般市民の犠牲増加
アフガン政府部隊、国際部隊と反政府勢力との交戦では、反政府勢力のタリバン側に45人の死者を出した南部ウルツガン州での9月12日の戦闘を含め、13日までにタリバン側に計56人の犠牲者が出ている。
一方、一般市民の犠牲者も増えており、国内難民の数が増えると同時に、パキスタンとの国境に向かうアフガニスタン難民も増加している。しかし現在の正確な数は把握されていないという。
また今年1月から計106人に及ぶ自爆攻撃者も出ている。戦争捕虜も増え、アフガニスタン政府側の捕虜数は2年間で5000人から1万2000人に増加した。
信頼関係の延長線上
こうした中、カブールに駐在する赤十字国際委員会は、医薬品の提供、市民の保護、敵対する部隊の対話、交渉にあたっている。先月の韓国人人質解放に関しても、「アフガン政府部隊、国際部隊そしてタリバン側ともコンタクトし、中立の立場で交渉を行うことで信頼関係を築いてきた。その延長線上で今回の人質解放の援助もできた」とシュトッカー氏は語った。
しかし戦況が悪化する中、「赤十字国際委員会は長期的視野に立つ援助を打ち切り、緊急態勢での短期の援助のみを行っている」という。シュトッカー氏の一時帰国の目的の1つに、赤十字国際委員会のこの援助を強化する予算編成があった。2008年度は今年の30%増加で6000万フラン ( 約60億円 ) になる予定だという。
swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )
国連によれば、2000~2001年のアフガニスタン国内難民は12万9000人に及ぶ。
これに加え、最近8万人の国内難民が増加したと推測される。
およそ300万人のアフガニスタン難民が、パキスタン、イランなどの近隣諸国にいる。
赤十字国際委員会は、1987年からアフガニスタンにスタッフを送り込んでいる。計62人のスイス人スタッフと1179人の現地スタッフで活動を続けている。
先月、タリバン側に捕まった21人の韓国人人質解放の交渉仲介の役目を果たした。
赤十字国際委員会によると、アフガニスタンの捕虜収容所の状況は悪化している。捕虜数は2年間で5000人から1万2000人に増加している。
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