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スイスの別荘が購入可能に                      

この法案撤廃に反対する緑の党は「スイスアルプスがコンクリートに覆われる」と恐れている Keystone

スイス政府は7月、国外に在住の外国人の別荘購入を規制していた法律( lex Koller )を撤廃することを発表した。1961年に外国からの投機的購買を避ける為に設立された同法が時代錯誤との判断だ。

今後は各州の国土開発計画に、空洞化していくスキーリゾート地など過疎村の別荘建設の調整を委ねる方針だ。反対派はスイスの象徴であるアルプスのコンクリート化が進むと反対している。

 この別荘地購入規制法は1960年代の近隣諸国からの不動産投機ラッシュを受けて、アルプスなどのリゾート地の不動産価格高騰を避けるために設けられた。今までに同法は何度も内容が変化したが、現在あるコラー法(当時の法務相の名前)ではスイス中のリゾート地における外国人(スイスに住まない)への別荘売買件数を年間1500件以内に制限する内容だ。このため、リゾート地の多い、ヴァレー/ヴァリス州などは現在、1000人の外国人補欠人名簿の登録があり、5〜6年待ちという状況にある。

真の問題は「空洞化」

 この問題についてモリッツ・ロイエンベルガー環境・運輸・エネルギー相は「真の問題はこれらの別荘やアパートが1年中、空き家であり、インフラ費やエネルギー費がかかること」とフランス語圏テレビで話した。

 アルプスの別荘販売を専門とする不動産屋、アルピン・ホームズのマリナ・ミシュロ氏も「実際、別荘を貸さないのはスイス人の方だ。問題は国籍ではなく、これらリゾート地に空き家が多いということ」と説明する。また、「絶対にスイスで別荘を買いたいという外国人はこの法律を潜り抜けるのは簡単」とも言う。

 ヴァレー/ヴァリス州の「外国人別荘購入割り当て委員会」のマルコ・ディニ委員長も「外国人に売るかどうかで別荘建築問題や過疎化問題を解決できるわけではない」と説明する。

 同氏によると、ヴァレー/ヴァリス州のリゾート地の過疎化問題は深刻で30%埋まっていれば良いほうという。同州の報告によれば、カンペロ(Campello)やサン・ルーク(Saint-Luc)などといったリゾート村は住宅のそれぞれ93%、83%が別荘である。

外国人ラッシュになるのか?

 アルピン・ホームズのミシュロ氏は同法の撤廃で需要が直ぐに増えるとは思っていない。「ヴァレー/ヴァリス州には既に別荘の数を増やさないモラトリアムが設置されており、それぞれ独自の規制を設定している」と説明する。

 例えば、ツェルマットは税収狙いでスイスに在住の外国人にしか別荘販売がされていなく、サスフェーは外国人への販売が禁止、ヴェルビエは新しい別荘建造は一時停止されているといった具合だ。クランモンタナなどは新築の別荘のうち割り当て制度を設けている。

 前出のディニ委員長によると、コラー法が完全に撤廃されるには来年、議会で協議され、あと3年間の移行期間の後となる。「レファレンダムに持ち込まれ、実際に撤廃されるにはあと5年はかかるでしょう」というから、スイスに別荘を買いたい人はまだまだ、気を長くしていなければならない。

swissinfo、 屋山 明乃 ( ややま あけの )

スイスのように国外に住む外国人への別荘販売規制法を設けているのはオーストリア、インスブルクのチロル地方とデンマークである。

同法は1961年に外国からの投機的購買を避けるために設置されたが、これまで何度も改訂された。

スイスに居住していない外国人や外国企業が別荘を購入するには各州の許可が必要。

スイスに住むEU域外の出身者はスイスで本住所としてアパートや家を買うことができるが、別荘の場合は許可申請が必要だ。

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