同性カップルに対し公式な結婚は認めてはいないが、パートナーシップ証明は行っているスイスで昨年、レズビアンカップルを祝福したある神父が司祭職からとがめられた。結婚は男女間の結びつきとするカトリック教会だが、同性婚への支持を表明する神父が増えている。(SRF/swissinfo.ch)
このコンテンツが公開されたのは、
教会のルールに厳密に従うべきか、それとも同性カップルを祝福すべきか。こうしたジレンマに悩む神父は近年多くなっており、中にはどの信者も教会から祝福を受ける権利があると考える神父もでてきている。
ゲオルク・シュムッキさんは同性婚を支持する神父の一人。これまで数組の同性カップルを祝福してきた。最初の1組目は内密に行ったが、次第に教会内で祝福するようになった。しかし、このことを聞きつけたザンクト・ガレン司教のマルクス・ビュッヒェルさんは、教会のルールに反しているとシュムッキさんをとがめた。今のところそれ以降の処分は行われていない。
ビュッヒェルさんは、同性カップルが役所で式を挙げることに問題はないとする一方、カトリック教会がこうしたカップルを祝福することに反対している(スイスで結婚する場合、カップルは役所で公式に結婚を認めてもらわなければならない。キリスト教信者はそれに加え、教会で式を挙げ、教会からも結婚を認めてもらう)。
ビュッヒェルさんはまた、同性カップルを祝福すれば、結婚は男女の結びつきとする教会の考えに反すると主張する。
レズビアンカップルのブリギッテ・レースリさんとマヌエラ・ウールマンさんは近年、教会で式を挙げた。敬虔なキリスト教信者だった二人は、教会で愛を誓いあうことが大事だと考えていたからだ。挙式には大勢の人が駆けつけたが、中には「神への冒涜だ」と出席を拒む人もいた。
続きを読む
おすすめの記事
同性・異性カップルにベストな制度とは?法律専門家が語る
このコンテンツが公開されたのは、
現在スイスの家族法では、異性間の結婚と同性間のパートナーシップ登録が認められているが、異性・同性の事実婚など、他の新しい共同生活のかたちも法制化すべきだろうか?
もっと読む 同性・異性カップルにベストな制度とは?法律専門家が語る
おすすめの記事
「僕は男でもあり女でもある」 インターセックスに生まれて
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ在住のエドワルドさん(33)がインターセックスの診断を下されたのは16歳の時。この告知は彼の人生を大きく変えた。自分を「あまりにも繊細で頑固」と評するエドワルドさんが、人と違うあり方を認めたがらない社会で、理解を得るためどのように戦ってきたかを語った。
もっと読む 「僕は男でもあり女でもある」 インターセックスに生まれて
おすすめの記事
同性愛者も外国人も対象に 国がHIV予防啓発
このコンテンツが公開されたのは、
12月1日は世界エイズデー。スイスではどのようなHIV(エイズウイルス)感染予防の取り組みが行われているのか。またスイスの今日のセックス事情は?
もっと読む 同性愛者も外国人も対象に 国がHIV予防啓発
おすすめの記事
スイス人レズビアンの物語 翻訳本で中国のレズビアンにエール
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレズビアンは20世紀後半をどう生きたのだろう。年齢を重ねたレズビアンを題材にしたコリン・ルフリさんの著書が中国語に訳されて出版される。これをきっかけに、ひょっとしたら中国でも同性愛についての論争が白熱するかもしれない。
もっと読む スイス人レズビアンの物語 翻訳本で中国のレズビアンにエール
おすすめの記事
禁じられた食事― 宗教改革期のチューリヒで起きた「ソーセージ事件」
このコンテンツが公開されたのは、
宗教改革が行われてから今年で500年目にあたる。スイスの隣国ドイツでマルティン・ルターが免罪符を批判する「95カ条の論題」を提示し、カトリック教会の慣行に疑問を投げかけたのがその始まりだ。それから5年後、スイスにも波及した宗教改革。ドイツに負けず劣らず可笑しく、生活感にあふれている。焼肉1枚とソーセージ2本から始まった、スイスの宗教改革をご紹介しよう。
1522年3月9日、イースター前の断食期間中1回目の日曜日にその「大罪」は犯された。「犯罪現場」は、チューリヒの城郭から目と鼻の先にあるグラーベンガッセ通りの「ブドウ畑の家」と呼ばれる印刷工場。印字の収納箱や木の板、版木がごった返す工場に集まった10数人の男たちが、カトリック教会とその権威者らを挑発する行動に出たのだ。
もっと読む 禁じられた食事― 宗教改革期のチューリヒで起きた「ソーセージ事件」
おすすめの記事
来年はルターの宗教改革から500年、 プロテスタントのアイデンティティーについて考察する機会
このコンテンツが公開されたのは、
2017年は、マルティン・ルターが「95カ条の論題」を掲げ宗教改革を行ってから500年目にあたる。プロテスタント機関紙の編集長ジョエル・ビュリ氏は、「この節目の年はスイスのプロテスタントの信者にとって、そのアイデンティティーについて考察する良い機会になる」と語る。
もっと読む 来年はルターの宗教改革から500年、 プロテスタントのアイデンティティーについて考察する機会
おすすめの記事
二人の母親がいる家族、法律との葛藤
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、同性カップルがお互いをパートナーとして登録できるいわゆる同性婚が認められている。しかし、法律上これらのカップルに対しては実子も養子も持つことは認められていない。それでも、実際に同性カップルの家族(レインボー・ファミリー)と暮らしている子どもはたくさんいる。
レズビアンのカップル2組にその実状を聞いた。
「エリアス(仮名)が生まてくる前は、周囲からひどく批判されるのではないか、子どもが苦痛を味わうのではないかなど、とても心配でした。今のところ、周りの反応は好意的ですが、大変なときもあります。いつもカミングアウトしていかなければならない気がして」
もっと読む 二人の母親がいる家族、法律との葛藤
おすすめの記事
同性愛者であることに気付いて
このコンテンツが公開されたのは、
「最近、スイス社会ではホモフォビア(同性愛に対し恐怖感、嫌悪感や偏見など、否定的な考えを持つこと)が減って同性愛者も住みやすくなっていると聞くけど、その逆ではないかと感じる。それは、異性のカップルが手をつないで歩くのは普…
もっと読む 同性愛者であることに気付いて
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。