スイス、同性カップル認知へ 連邦議会が支持
スイスが、同性同士のカップルを認める方向へ大きく動き出した。
連邦議会が同性カップルを認める法案を支持。最終的に成立すれば、同姓のカップルにも異性の結婚の場合と同じように、年金や遺産の相続、税制上の優遇措置などが認められる。
同性カップルを認知する今回の法案は、連邦議会の下院に続き、上院でも通過した。ただ、一部の議員は同性カップルの合法化に異論を唱えており、同性愛者の権利をどこまで認めるか、有権者が直接決める国民投票に委ねる可能性も出てきた。
同性婚の是非
上院を通過した同法案は、下院へ再び戻され、近く細部を詰める予定だが、今回の決定は焦点の同性婚を事実上認めた形となっている。これより一歩進んで、同性のカップルに養子縁組を認めたり、苗字変更を認める法改正が行われる見通しはないという。
同性愛者の権利を訴える地元の団体「ピンク・クロス」は、年金受給者が死亡した場合に配偶者などに与えられる給付金の受給資格や遺産の相続などを同性カップルにも拡大した点で、「一歩前進」と評価する。
だが、同性婚を認めるかどうかを巡り、政党の間では、個人の自由を重視するリベラル派と、家族の絆など伝統的な価値観を提唱する保守派で意見が分かれる。
中道左派の社会民主党のクロード・ヤニアック議員は、スイスが北欧に比べ同性愛者の法的権利の付与が遅れていると指摘しながらも、今回の決定に対し「おおむね満足な結果」と話した。
一方、宗教保守派の連邦民主連合は、国が介入して連邦法で同性婚を認知することには反対だ。「連邦議会は伝統的な価値観を重視する立場にある。それと異なるライフスタイルを奨励すべきでない」と主張する。
連邦民主連合のクリスティアン・ヴァーバー議員は「国民投票に持ち込めるだけの署名を集めることは可能」と述べ、法が最終的に成立すれば、国民投票に持ち込み、同性婚容認の是非を問う構えを見せている。
スイス国際放送 ウルス・ガイザー 安達聡子(あだちさとこ)意訳
連邦よりも先駆けて、ジュネーブでは3年前、チューリヒでは昨年に同性カップルを認めている。
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