約70年前にスイスの氷河に不時着した米軍用機ダコタC53の機体の一部を、スイス空軍が氷の中から掘り出した。
このコンテンツが公開されたのは、
軍用機は1946年にベルナーオーバーラント地方のガウリ氷河に不時着した機体。先月、温暖化によって解けた氷河の表面に姿を現した。スイス空軍によると、掘り出したのは機体の「重要な一部」。コックピット部分などはまだ氷河の下に眠っている。
回収チームの責任者フリッツ・テューサー氏は15日に記者会見し「プロペラ付きのエンジンブロック、翼の一部、その他の小さな部品、板金、木製パーツ、毛布などが見つかった」と語った。
最大2トンに及ぶ回収物を、ふもとの谷に空輸中だ。
テューサー氏は「スイス当局は米国から機体の提供を受けた」と語った。部品の一部は、ふもとのインナートキルヒェン村の観光案内所に展示される予定。
ダコタC53は1946年11月19日、霧の中でコースを見失い、ベルナーアルプスのガウリ氷河(3350メートル地点)に不時着。飛行機が発見されたのは偶然だった。
スイス軍のパイロットたちが世界で初めて、高山地帯における空中からの救助活動を実施。乗客12人を無事近隣のマイリンゲンまで輸送した。これが、スイスの航空救助隊「レガ」が誕生するきっかけになった。
(SRF, swissinfo.ch)
おすすめの記事
おすすめの記事
ガウリ氷河の奇跡
このコンテンツが公開されたのは、
高位将校や女性3人を含む乗客全員が墜落を生き延び、劇的に救出された。ここで活躍したのはスイスの山岳ガイド、山岳で活動する兵士、そして2人のパイロットだった。また、この救出のおかげで、戦後緊張していたスイスとアメリカの政治…
もっと読む ガウリ氷河の奇跡
(英語からの翻訳・宇田薫)
続きを読む
おすすめの記事
氷河 凍った時の流れ
このコンテンツが公開されたのは、
写真家ダニエル・シュヴァルツさんが気候変動のテーマに取り組むようになってからもう長い。ビュンドナー美術館で開催中の展示会「さまよう氷河」では、美術館の目の前で実際に起こった環境の変貌が写真に収められている。
もっと読む 氷河 凍った時の流れ
おすすめの記事
貴重な考古学的発見 後退進むスイスの氷河から続々
このコンテンツが公開されたのは、
新石器時代の木製の弓、石英の矢頭、祈りの本― アルプスの氷河が溶けて後退するにつれ、考古学的に貴重な品々や遺体などが良い保存状態で続々と姿を表し始めた。ヴァレー博物館ではそのような珍しい発見のいくつかを展示している。
もっと読む 貴重な考古学的発見 後退進むスイスの氷河から続々
おすすめの記事
スイスの氷河に不時着した米軍用機、70年後に氷上に姿現す
このコンテンツが公開されたのは、
70年以上前、スイスの氷河に不時着した米国の軍用機が、温暖化によって解けた氷河から顔を出した。地元自治体は、冬が来る前に機体を回収したいという。
もっと読む スイスの氷河に不時着した米軍用機、70年後に氷上に姿現す
おすすめの記事
消えゆくスイスの氷河をリアルタイムで詳細に観測
このコンテンツが公開されたのは、
地球温暖化によりスイスの氷河が溶けている。実際にどのくらいのスピードで溶けているのか?どんな影響を与えているのか?スイスの研究者たちは新しい技術により、気候変動の影響と風景の変化を視覚的に捉えることに成功した。
もっと読む 消えゆくスイスの氷河をリアルタイムで詳細に観測
おすすめの記事
暑くてたまらない?それなら登山はいかが
このコンテンツが公開されたのは、
気温が上昇すれば人も上を目指すー。スイスの人たちは暑くなると山に登る人が多い。気温は涼しいし、氷河もあるし、スキーやスノーボードも楽しめる。
もっと読む 暑くてたまらない?それなら登山はいかが
おすすめの記事
環境団体、異常気象で温暖化対策をスイス政府に訴え
このコンテンツが公開されたのは、
国際環境団体グリーンピースが8日、スイス政府の気候変動政策 に対する抗議活動を起こした。別の市民団体は来春、2050年までに化石燃料の使用の全面禁止を連邦政府・議会に求める「氷河イニシアチブ」の立ち上げを計画している。
もっと読む 環境団体、異常気象で温暖化対策をスイス政府に訴え
おすすめの記事
日本人ら研究チーム アレッチ氷河内部の初「透視」に成功
このコンテンツが公開されたのは、
日本人を含むベルン大学の研究チームが、宇宙線のミュー粒子を利用し巨大な物質の内部をレントゲン写真のように写す技術「ミュオグラフィ」で、ユングフラウのアレッチ氷河の透視に初めて成功した。これまで調査が困難とされてきた氷河内部の解明につながるほか、研究者らは「氷河の予報も夢ではない」と期待する。
もっと読む 日本人ら研究チーム アレッチ氷河内部の初「透視」に成功
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。