仏エビアン・サミットにスイス住民は大迷惑?
主要国首脳会議(G8)が6月1日から3日まで開催されるフランス領のエビアンの北東50キロに位置するジュネーブと首脳陣が滞在する対岸の街ローザンヌでは、サミット開催期間中の反グローバリゼーションデモを恐れてほとんどの商店が閉店する。
29日(木)がキリスト昇天際で祭日のため、2日の火曜日まで多くの市民が街を去り、街中はすでに閑散としている。従来、この祭日には多くの観光客が湖畔の街を訪れるため、商店やホテルなどは「大損だ」と嘆いている。
抗議デモ
エビアン・サミット(G8)に抗議する団体は29日にローザンヌで、6月1日にはジュネーブとアヌマス(仏領)で大規模なデモを予定している。活動団体は50万人が集まるだろうと想定しているが問題はデモが暴力化したりテロ事件が発生した場合である。ジュネーブ州警察の広報官は「スイスの準備はできているが、フランスほど警備の人数がいればいいのだが」と嘆く。フランス側は1万8千人、スイス側は州警察、連邦警察、軍さらに、ドイツ軍にも700人の派遣を要請しており、合わせて1万人相当になる。
警戒態勢
5月29日から6月3日まではエビアン(仏)、ジュネーブ、ローザンヌで厳しく交通規制され、首脳陣が宿泊する場所などは一切立ち入り禁止となる。チェックポイントが数多く設けられ、閉鎖される国境も多い。湖畔は原則的に航海禁止になり、上空も規制されるうえ首脳陣が到着するジュネーブ国際空港では一般旅客機の発着の遅れが予想される。
街中バリケードだらけ
ジュネーブ、ローザンヌの両市ではデモ参加者による破壊行為を恐れ、多くの商店がショーウィンドーにベニヤ板を張りつけて備えている。反グローバル化の標的となる世界貿易機関(WTO)に続くローザンヌ通りに面した商店の多くが期間中は休業するという。ふとん屋の従業員のベリル氏は「保険がきかないからベニヤを張った。窓が壊されたら何日も営業停止になるから」と説明、「デモの参加者よりもそれを利用する無節操な奴らが心配」と話す。ジュネーブが何故、デモの場に選ばれたのかについては「ジュネーブは銀行も多いし、資本主義の象徴なのだろう」という。
3軒先の銀行ではローザンヌから来た家具職人のグループがベニヤ張りの作業中。「今日で10件目。普通は警備専門の会社がやるのだが、人数が足りなくてかり出された」と語る。スイス住民の多くは「スイスはG8のメンバーでもないのに迷惑だ」という意見が多く、「早く終って欲しい」というのが本音だ。ローザンヌのホテルなどは「前年度比で50%も予約率が下がった」と嘆いている。
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