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寒い冬こそ暖かい場所へ・スイスでジャングル探検

ビビッドな赤色がとてもキレイな植物 swissinfo.ch

そろそろ12月、町のあちこちでツリーやイルミネーションが飾られ、「ああ、冬が来た」と実感する。この時期になると、いくらスイス最南端で温暖な気候のティチーノ州といっても、さすがに寒さが厳しくなってくる。ルガーノ(Lugano)湖周辺に立つ1000メートル級の山々も、すっかり雪化粧している。

 こんな寒い日は、どこか暖かい場所へ旅したくなってしまう。暖かい南の島へでも行ってのんびりと自然を満喫したいというのが心情だが、わざわざよその国に出かけなくても、真冬のスイスで温暖な熱帯雨林の気候を体感することができる場所があるのだ。

 本来ならば、ティチーノ州内にある暖かい場所をご紹介したいところだが、マッジョーレ湖に浮かぶブリッサーゴ(Brissago)諸島にあるティチーノ州立植物園は、残念ながら冬期は閉園しているため、今回は、暖かさを求めてチューリヒまでミニ・トリップを企てることにした。

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 冬期は閉園しているこのティチーノ州立植物園は、スイスで唯一の「島全体が植物園」というユニークな場所で、ティチーノの温暖な気候でなければ繁殖しない珍しい品種のほか、1700種もの植物が楽しめる。アスコーナ(Ascona)やロカルノ(Locarno)から湖船で約15分、春夏にティチーノ州を訪れる人には、是非立ち寄って欲しい場所のひとつだ。

 さて、前記した「チューリヒにある暖かい場所」とは、チューリヒ動物園内にあるマソアラ(Masoala)熱帯雨林のことだ。この場所は、マダガスカルのマソアラ半島と同じ熱帯雨林の気候を再現したもので、建物は全面から太陽光を透過できる造りになっており、敷地面積1万1000平方キロメートルの「巨大な温室」といったところだ。気温は、常に20〜35度、湿度は80%に保たれており、マダガスカルで生息する植物や動物が過ごしやすい環境が再現されており、動物たちは自由に移動できるよう放し飼いにされている。

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 暖かさを求めルガーノから車を走らせること3時間、チューリヒにあるマソアラ熱帯雨林に到着。ルガーノに比べると気温はぐんと下がり、チューリヒの町中にも雪が積もっていた。そこまで寒いと期待度が増々アップする。

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 建物の中に入り最初に目にするのは、マダガスカルにちなんだお土産が購入できるショップだ。ここでの売り上げの一部分は、入園料や園内にあるレストランの収益を含めマダガスカルに寄付されるということだ。最後にお土産を買い、少しだけ貢献できたかもしれない。

 さて、緑生い茂る園内へ足を踏み入れると、ムッと湿気を感じじわじわと汗がにじみ出て来た。うっそうとした茂みのなかにそびえ立つ木々、巨大なゾウガメ、鮮やかな配色の植物、それに滝の流れる音、鳥のさえずり、名物のキツネザルがカサカサと木々を飛び渡る音、その湿度や温度からだけでなく、ヴィジュアルや聴覚からもジャングルの中にいる気分を味わえる。

 この日はラッキーだったのか、めったに会えないというキツネザルを見ることが出来たが、残念ながらシャッターチャンスを逃してしまった。それ以外にも、植物と一体化してなかなか見つけることが難しいカメレオンにも2種類出会うことができた。

 このマソアラ熱帯雨林は、檻(おり)の外から観察する普通の動物園とは違い、歩行中にどんな動物に出会えるかわからない、「ジャングル探検」のようだった。

ティチーノ州からチューリヒにあるこのマソアラ熱帯雨林を訪れる最初の目的は、「暖かい場所へ行く」というものだったが、「暖かさ」だけでなく、訪れたこともないマダガスカルの生態にも触れられる素晴らしい体験となった。

 この「ジャングルの中」は、大人でも思わず「あ、カメレオンだ〜、キツネザルだ〜!」と、声を上げてしまう程楽しい発見で溢れている。チューリヒに行くチャンスがあれば、是非マソアラ熱帯雨林を訪れてみてはいかがだろうか。個人的には湿気と温度が上昇する夏よりも、今のような寒い時期がお薦めだ。また、春夏にティチーノ州に訪れる機会があれば、前記のティチーノ州立植物園までのんびり足をのばしてみるのも悪くない。

リッソーネ光子

マリンスポーツ界でアスリートやレポーターとして世界中を飛び回り、1998年にロケで訪れたイタリアに魅せられそのままミラノに移住。その後、縁がありスイスイタリア語圏のルガーノへ移り住んで11年。社会人としてルガーノ大学を卒業後、同大学の大学院でメディアマネージメントを専攻。現在、イタリア語の通訳・翻訳者としてメディアやスポーツ業界の他、多方面で活躍中

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