「マニフェスタ11」、スイスの芸術祭のテーマは「仕事」
2年に1度、欧州の都市で開催される現代美術ビエンナーレの2016年版「マニフェスタ11」が現在スイス・チューリッヒで行われている。「人はお金のために何をするか?」をテーマに、フランスの作家ミシェル・ウエルベック氏など、世界で活躍する30人のアーティストがお金や仕事を題材に作品を出展している。
ウエルベック氏は、展覧会のためにチューリヒのヒルスランデン病院で健康診断を受け、そのときに撮影した自分のレントゲン写真などを展示。会場となっているヘルムハウス美術館では、作品を通じてウエルベックの体の中を覗くことができる。
またリマト川に面するヴァッサー教会には、ロシアの作家で蝶(ちょう)収集家でもあったウラジーミル・ナボコフ氏へのオマージュとして、ロシアの芸術家が作った巨大な蝶が吊り下げられている。
マニフェスタ11外部リンクのキュレーターを務める映像作家のクリスチャン・ヤンコフスキー氏は、「仕事や職業で自分の価値を決めるチューリヒ住民にとって、今回のテーマは身近なものだ」と話す。
展示作品の中で最も挑発的な作品は米国のアーティスト、マイク・ブシェ氏による、チューリヒ住民40万人の排せつ物とコンクリートで作った巨大な「The Zürich Load(チューリヒの道)」だ。彼の作品はメディアや芸術界で物議をかもした。
しかしマニフェスタ11の目玉はチューリヒ湖に浮かぶ巨大パビリオンだ。中では映画を鑑賞したり泳いだりすることができる。
主催者は開催期間の6~9月末の間に、世界中から10万人がマニフェスタ11を訪れると予測している。
(写真・Caroline Minjolle 文・Larissa Bieler 翻訳&編集・説田英香)
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