経済危機をよそに宝くじ収益記録更新
スイスでは宝くじが大盛況だ。連邦司法警察省司法局が7月16日に発表した2008年の宝くじ統計によると、スイスに住む人々は29億フラン ( 約2500億円 ) と史上最高の金額を宝くじに費やした。
これは前年に比べると2.5%の増加だ。1人頭の平均は370フラン ( 約3万2000円 ) 。2007年は減収となったが、昨年の収益は2006年に作られた最高記録を4300万フラン ( 約37億円 ) ほど上回った。
ユーロミリオンの人気増
連邦司法局 ( BJ/L’OFJ ) のデニス・レルチャー氏は「スイス通信社 ( SDA/ATS ) 」の問い合わせに対し、
「当選金額が非常に高額になったロト ( 宝くじ ) がいくつかあり、これも増収の理由の1つとなっているのだろう。たくさんのお金がかかってくると、宝くじに使うお金も多くなる」
と分析する。
また、
「現在の経済危機が促進の役目を果たしたということも考えられる。経済状況が悪化しているとき、お金が当たるかもしれないという期待はとりわけ魅惑的に思えるのかもしれない」
と推測するが、これは統計からは読み取ることはできない。
総収益も増加しているが、逆に言えば散財した人も多いということだ。2008年には9億1100万フラン ( 約790億円 ) ものお金が賭けで失われた。これは前年比1.8%の増加だ。
特に著しい増加が見られたのは「ユーロミリオン宝くじ」で、2008年は4億5400万フラン ( 約396億円 ) と前年に比べておよそ4100万フラン ( 約36億円 ) の増収となった。ロトの中で最も収益が多かったのは「スイスロト」でおよそ5億4500万フラン ( 約475億円 ) だったが、前年に比べると約2400万フラン ( 約21億円 ) の減収となった。
10億3000万フラン ( 約900億円 ) とロトよりも断然大きい収益があったのは、フランス語圏スイスで行われているロトの自動販売機「タクティロ」だ。この自販機はおよそ350軒の飲食店に置かれているが、その利用に関しては賛否両論だ。連邦政府カジノ委員会は、この機械はカジノの競争相手となるギャンブル機だという理由でタクティロの使用に反対しており、現在、連邦行政裁判所で廃止を求めて争っている。
スポーツを支える賭けは減益
一方、収益の少なかったのは、「スポーツ・トト社 ( Sport-Toto-Gesellschaft ) 」が提供しているスポーツを対象とした賭けの「トト」と「スポーツティプ」だ。2008年の収益は5600万フラン ( 約49億円 ) で前年比460万フラン ( 約4億円 ) の大幅減収となった。インターネット上の賭けは禁止されているが、利用する人は少なくないとみえ、この影響もあると推測されている。
ロトや賭けの収益金は大部分がスポーツ分野に投入されており、州の「ロト・スポーツ・ファンド」およびいくつかのスポーツの上部団体は2008年、合計5億3500万フラン ( 約465億円 ) を受け取った。前年より約1200万フラン ( 約10億円 ) の増加だ。
swissinfo.ch、外電
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