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銀行を利用した疑惑取引が新たに増加

2006年の疑惑取引の通報総数は600件を上回った ( Express ) Ex-press

マネーロンダリング通報局 ( Money Laundering Reporting Office Switzerland, MROS )の発表によると、資金洗浄行為の疑いを知らせる銀行業界からの通報が2006年に過去最高を記録した。

しかし、通報総数は前年に比べて15%減少しており、テロ資金の疑いのある資産も全体の2%にとどまっている。

 マネーロンダリング通報局が4月17日に発表した2006年の年間報告書によると、この年の疑惑取引に関する銀行業界からの通報は359件に上った。

通報義務

 スイス刑法には、職務上の守秘など顧客の特権が侵害されない範囲で疑わしい金融取引を通報する法律が定められている。銀行業界からの通報が増加した主な理由はこの法律にある。

 不正な金融取引の疑いを通報する義務が導入されたのは1998年。以来、銀行業界からの通報は22.5%増加し、2006年に過去最高を記録した。また、通報総数から見ても58%と5年ぶりに過半数を占めた。

疑惑取引の全体

 一方、2006年に資金洗浄の疑いがあるとしてマネーロンダリング通報局に届け出られた金融取引の総数は619件、2005年の729件に比べて15%減少している。ここ数年はこのような減少が続いているが、その理由として同局は、送金業者を代表とする支払い管理サービス業界からの通報件数が減少の一途をたどっていることを挙げている。2006年に同業界から届け出られた通報数は全体の26.5%で、減少率は過去最高の53%に達した。 

 通報の内容は全体的に良質のものが多く、8割強が詳細な捜査のために検察当局に送られている。ちなみに、2005年に送検されたケースは7割にも満たない。

テロ資金

 2006年に不正取引の関与を疑われた資産総額は8億1500万フラン ( 約800億円 ) 、2005年の約6億8100万フラン ( 約669億円 ) と比べて19.7%もの増加だ。これは銀行業界からの通報が増加したことによっている。 

 テロ資金に関連する金融取引が占める割合は疑惑資産総額のおよそ2%。通報総数では1.3%を占め、2005年には20件あった通報が2006年には9件まで減少した。通報の理由としては、「公表されているテロリスト名簿の名前と一致しているため」というケースがほとんどだ。

swissinfo、外電 小山千早 ( こやま ちはや )

マネーロンダリング通報局は連邦司法警察省警察局 ( fedpol ) に属し、金融業界と刑事訴追当局の間で重要な役割を担っている。一方、マネーロンダリング対策局は、金融関連業界における注意義務の順守を監視するための機関である。

マネーロンダリング ( 資金洗浄 ) とは、犯罪で得たお金であることを隠ぺいしながら、その資金を密かに合法的な事業の中に流入させることをいう。 

ほとんどのケースは麻薬の不正取引と関連している。

スイスのマネーロンダリング法は、すべての金融業者に対して、顧客全員の身元を確認し、資産の実質的所有者を定めることを義務付けている。

金融業者はさらに、マネーロンダリングの疑いを当局に通報し、関連資産を凍結しなければならない。

2005年にマネーロンダリング通報局に届け出られた疑惑取引は前年比11%減の729件。
2004年に封鎖された預金総額は7億7900万フラン ( 約765億円 ) 、2005年には6億8000万フラン ( 約668億円 ) に減少。

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