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電気自動車の「F1」 フォーミュラE、チューリヒで10日に初開催

フォーミュラEのマシン
時速250キロ出せるフォーミュラEのマシン。わずか3秒間で時速100キロに達する。普通のマシンと比べて音はずっと静か Keystone

電気自動車の最高峰レース「フォーミュラE・e-Prix」が10日、スイス・チューリヒで初めて開催される。スイスからは、世界耐久選手権(WEC)でトヨタのドライバーを務めるセバスチャン・ブエミ外部リンクらが出場する。スイスでカーレースが行われるのは実に64年ぶりだ。

 「チューリヒe-Prix」は、フォーミュラE外部リンクの2017~18シーズンを締めくくる大会の一つ。10チーム、ドライバー計20人が出場する。見どころは、レースがサーキットではなく市内中心部の一般道で行われることだ。

チューリヒ
チューリヒの市街地を縦断するコース Swiss E-Prix Operations

 今シーズンのe-Prixはこれまで香港、マラケシュ(モロッコ)、サンティアゴ(チリ)、メキシコシティー、プンタデルエステ(ウルグアイ)、ローマ、パリ、ベルリン、ニューヨークで開催された。

 レースを控えたチューリヒは、同じく伝統の市街地コースを持つモナコのような雰囲気に包まれている。レースが開催される日曜日を、10万人以上が心待ちにしている。

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スイス世界チャンピオン

 フォーミュラEは2002年、国際自動車連盟(FIA)が考案。発案したジャン・トッド会長が目指したのは、連盟のウェブサイトがうたう「持続可能なモビリティの可能性を実証」することだった。このレースは歴史が新しく、17~18シーズンが四度目だ。

 フォーミュラEの歴史を語るときになくてはならない人物が、セバスチャン・ブエミ外部リンクだ。ブエミはドイツのフォーミュラBMW、フォーミュラ3を経て、F1ドライバーの座を獲得。2009~12年まで、トロ・ロッソ、レッドブルのドライバーとしてレースに出場した。その後フォーミュラEに参戦し、2014~15シーズンは2位、2015〜16シーズンは1位、2016~17シーズンは2位と活躍。今シーズンは現在5位に付けている。

60年前の大惨事

 スイスでカーレースが開催されるのは実に64年ぶり。1950年から54年まで、F1レースの一つ「スイスGP」が、ベルンで開催されていた。

 しかし1955年6月11日、隣国フランスで開催されたル・マン24時間レースで2台のマシンが衝突、部品が観客席に落下して爆発し、84人が死亡、120人が負傷する大惨事が起きた。このためスイス国内ではこうしたレースが一切禁止された。

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 その後、スイス連邦議会の一部議員がこの禁止を解除するイニシアチブを出したが、全州議会(上院)は2011年、これを否決。環境政策や交通の安全に良くないというのが理由だった。

 それでもチューリヒe-Prixが実現したのは、スイス連邦政府が2015年12月、電気自動車のレースに限って開催を許可するという例外規定を出したためだ。連邦政府は理由として、電気自動車のレース開催は経済や研究場所としてのスイスにとって利益があると述べた。

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(独語からの翻訳・宇田薫)

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