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サリドマイド薬害を抱えて生きる スイスの被害者に聞く

当初は安全な鎮静剤と考えられていたサリドマイド。しかしその後、深刻な薬害が世界中の妊婦と子供を襲った。スイスも例外ではなかった。(SRF、swissinfo.ch)

開発元の製薬会社「Grünenthal(グリューネンタール)」幹部らの責任を問う歴史的な刑事裁判が1968年5月27日、ドイツで始まった。それから50年。スイス公共放送(SRF)は、この薬害の被害者でスイス連邦議会議員のクリスティアン・ローアさんに現在の思いを聞いた。

サリドマイドは最も悲惨な薬害の一つだ。大勢の妊婦が無害な睡眠薬と信じてこの薬を服用し、世界で1万人以上の赤ちゃんが肩関節・腕の欠損、足や股関節、耳の奇形を持って生まれた。

睡眠薬と精神安定剤サリドマイドは旧西ドイツで1957年、「Contergan(コンテルガン)」の製品名で発売された。医師の処方箋(しょほうせん)がなくても購入でき、服用量が多くてもリスクはないという触れ込みだった。他の睡眠薬とは異なり依存性がないため、妊婦の間でもすぐに人気となった。

1961年に奇形児の原因となる疑いが浮上し、コンテルガンは同年末、市場から回収された。68年5月27日、グリューネンタール幹部の責任を問う訴訟の初公判が開かれた。ドイツの法律史上最も複雑な裁判の一つとされ、被害を受けた子供の両親が共同原告として法廷に立った。70年4月、和解が成立。グリューネンタールは2012年になってようやく、サリドマイド薬害について公式に謝罪した。

スイスでは、有効成分サリドマイドが「Softenon(ソフテノン)」の製品名で販売された。ただコンテルガンとは違い、購入には医師の処方箋が必要だった。公式の統計によると、スイス国内ではサリドマイドにより奇形で生まれた赤ちゃんは9人だった。キリスト教民主党(トゥールガウ州選出)のローアさんはその一人だ。

ドイツ連邦サリドマイド被害者協会によると、世界で約2400人が、今もなおサリドマイドによる奇形を抱えて生活している。

(英語からの翻訳・宇田薫)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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