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スイス、パキスタン救援募金キャンペーンを開始 洪水被害で

30 年ぶりの大雨に見舞われたハイデラバードで救助を待つ人々
30 年ぶりの大雨に見舞われたハイデラバードで救助を待つ人々 Keystone / Nadeem Khawar

パキスタンで発生した壊滅的な洪水は1100 人を超える犠牲者を出し、家屋約 100 万軒が被災した。さらなる被害拡大が見込まれるなか、スイスでは全国的な募金活動が始まった。

パキスタンのビラーワル・ブットー・ザルダリ外相は30日、状況は悪化する可能性が高いと述べた。この地域は雨期が始まった6月中旬以降大雨が続き、洪水が発生している。ジュネーブでは国連とパキスタン政府が総額1億1600万ドル(約160億円)の6カ月支援計画を発表した。

ザルダリ氏は「災害の規模と被害は甚大で、パキスタンの人的資源も対応能力も超えている」と訴えた。専門家と同じように、災害の原因は気候変動にあると断じた。

「パキスタンは今世紀最大の脅威である地球温暖化の『グラウンド・ゼロ(爆心地)』になった」(ザルダリ氏)。過去数十年で最悪の洪水を受け、パキスタン政府は26日に国家非常事態を宣言した。

子供の犠牲も多く

人口約 2 億 2000 万人の核保有国・パキスタンでは、南西部のバロチスタン地域の被害が深刻で、北西部でも洪水が発生している。パキスタンでは近年、洪水や干ばつ、土砂崩れなどの自然災害が多発している。

スイス「幸福の鎖」募金運動

パキスタンの壊滅的な被害を踏まえ、スイス公共放送協会(SRG SSR)の慈善団体「幸福の鎖」は募金運動を始めた。

幸福の鎖によると、ヘルヴェタスやソリダー・スイスなど提携組織は緊急援助活動に既に着手し、食料や飲料水を配布している。「今後数日から数週間で、スイスの提携組織と協力し、緊急物資を提供する」という。

パキスタン当局によると、犠牲者のうち400人近くは子供だ。約3500キロメートル相当の道路が壊れ、約160カ所の橋が崩壊した。農家は約70万頭の家畜を失った。

非常事態宣言後、国際社会から1億7300万ドルの支援が集まった。

洪水の被災者は3300万人を超える。計画開発省の推計によると、パキスタン経済の被害額は約100億ドルに上る。

洪水被災地
スワート渓谷のカラムにある被災ホテルの建物から使えそうな物品を回収する人々 Copyright 2022 The Associated Press. All Rights Reserved.

ジュネーブ発の救援計画

ジュネーブの国連人道問題調整事務所 (OCHA) のイェンス・レーケ報道官は、約50万人が住む場所をうしなったと説明した。多くは親戚や知人の家に身を寄せ、キャンプに避難している人もいる。新しい家屋の建築が急務だ。

ジュネーブで発表された援助計画は医療支援が中心だ。世界保健機関(WHO)によると、流れてきたがれきによるケガや破損したケーブルによる感電、コレラなどの感染症が想定されている。


排泄物の下水が適切に処理されないと、こうした感染症が広がる恐れがある。糖尿病患者などの慢性疾患がある人や妊婦も、緊急時にも治療を受ける必要がある。

損壊した医療施設は約900カ所に上る。慈善団体ユニセフは、パキスタンには洪水の発生前から栄養失調の子どもたちが多くいたと報告している。そうした子供たちには手厚い支援が必要だ。

スイスは国内の人道支援機関から 4 人の専門家をパキスタンに派遣した。現地のスイス大使館と協力して人道支援活動に当たる。既に現地に到着し、迅速評価を行なっている。


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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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