チューリヒ・バーンホフ通りに登場したパン屋John Bakerでは、パティスリーも販売している
Keystone-SDA
高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。
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チューリヒ中央駅から湖畔に向かって伸びるバーンホフ通り(駅前通り)は、スイスで最も高級なショッピング街の1つ。数万フラン(数百万円)の宝石や時計、デザイナーブランドの店が立ち並ぶ。その中に新しくパン屋「John Baker外部リンク」が登場し、サンドイッチも買えるようになった。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)外部リンクは、同店の開業がバーンホフ通りの転機になる可能性があると伝えた。
「私たちが販売する商品は、すべて店頭で製造します」。パン屋の店主イェンス・ユング氏はこう話す。同氏はボリビアやメキシコ、米国でも経験を積んだパン職人で、2013年にJohn Bakerを立ち上げた。「バーンホフ通りに店を構えることに最初は少し不安もありましたが、非常に前向きな一歩です」
「ティファニーやグッチ、シャネルの横で職人技を披露できることは、この上ない喜びです」とユング氏。バーンホフ通りの主任パン職人を務めるのはヴェルサイユ出身のフランス人で、「全てがオープンなのはいいことです。人々は私たちの仕事を見て喜んでいます」と語る。
バーンホフ通りの賃料は法外な額に上ることもあり、ほとんどの地元商店にとっては手が届かない。ユング氏の家主はチューリヒ州立銀行(ZKB)だ。「前のテナントだったカフェはあまり儲かっていなかったようだが、ZKBは超建設的だった。チューリヒ出身で、店先で働き、スターバックスのような海外ブランドではないテナントを探していた」
「ローカルとインターナショナルの混合」
チューリヒ・バーンホフ通り商業者連盟のファニー・アイスル会長はRTSで「John BakerがZKBからスペースを借りることができたのは、大きなチャンスだった」と話す。「簡単なことではないが、ローカルな店とインターナショナルな店が適度に混じり合っていることが必要だと理解する家主が増えている」。賃料の高さも、それだけ需要が大きいことの証だという。「それもバーンホフ通りにとってはいいことだ」
銀行や高級店が軒を連ねるこの一帯は、変容を遂げつつある。チューリヒ最古の百貨店だったイェルモリ(Jélmoli)は125年の歴史に幕を閉じ、2025年2月末に撤退する。2027年には、高額な賃料を理由に撤退した百貨店最大手マノール(Manor)が7年ぶりの再開業を予定する。ジュネーブを拠点とするマウス・フレール(Maus Frères)傘下のマノールの再登板は、チューリヒを活性化し波及的な経済効果を生むとして、地元経済界も歓迎している。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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