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金(きん)を庭に埋めるスイス人

金貨
かつてスイスで人気を博した金貨「ブレネリ」のように、スイスではコインでの所有が主流となっている Keystone / Gaetan Bally

裏の畑でぽちがなく―スイス人が堀ったなら、本当に金銀財宝が出てくるかもしれない。ザンクト・ガレン大学の調査によると、スイス国内の庭には推定10トンもの金(ゴールド)が埋蔵されている。

金は安全な資産として知られ、コインやインゴットといった形での現物の金投資は、人生で遭遇するリスクに対して一種の保険となる。かくして、銀行と保険業を経済の支柱とし、金取引の中心地としても名高いスイスにおいて、金は広く普及している。

ザンクト・ガレン大学が10月に発表した調査外部リンクは、こういったスイス人の「金好き」を裏付けている。スイスの住民3千人を対象に実施されたアンケート調査で、 回答者の65.2% が貴金属への投資は「賢明」であるとみなしている。。

金投資はスイス人に高い人気を誇る。不動産投資の人気には遠く及ばないものの、株式や債券などの伝統的な金融商品よりも好まれている。

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フリブール大学経済学部のセルジオ・ロッシ外部リンク教授にとって、スイス人の金好きに驚きはない。「世界規模で変化を遂げている政治およびマクロ経済は、スイス人にとっても不安材料だ」と同氏はswissinfo.chに語る。「インフレの影響もあり、銀行に預けている貯蓄の購買力が低下するのではないかとの懸念が生じている。その点、金は確実な投資形態として知られ、価値が下がらないとされている。購買力のある人は富を維持・増やすために金を購入する」

スイス人が購入する膨大な量の金

「他の国に比べ、スイスの資産額中央値の高さには疑問の余地がない」とロッシ教授は強調する。「すなわち、スイス人には大量の金を購入する余力があるが、他国ではさほど容易ではなく、まったく不可能なこともある」

アンケート結果を下敷きに、ザンクト・ガレン大学はスイス人がコインまたはインゴットで保有する金の量(宝石は含まない)を推定。対象者の22%が平均100.83グラムの金、7500フラン(約129万3000円)相当を所持していると示した。人口(900万人)全体では合計 200トンで、金額にすると149 億フランになる計算だ。

お金を愛するディズニーキャラクター、スクルージおじさんのように、スイス人は金を手元に置くことを好み、多くの場合 (43%)、緊急事態にしか手放さない。

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海賊のように宝物を隠すスイス人

スイス人は戦利品を見えない場所に隠す海賊にも似ている。調査では回答者の5%が金を自宅の庭に埋めて隠していると答えた。これを全人口に換算すると、スイス全国の庭には、7億5千万フラン相当の約10トンの金が埋められていることになる。

スイス人は貴金属も多くの場合、自宅に保管している。保管方法としては、タンス預金(15%)や金庫での保管(18%)が一般的だ。自宅での各種保管は、銀行保管(39%)とほぼ同じくらい日常的だ。

ロッシ教授は「スイスの人々が未だに金を埋めているという事実には少し驚かされた。裏を返すと、一部で銀行への信頼が揺らいでいるという現実に他ならない。これは権威の失墜として銀行が念頭に置くべきことだ」と述べ、ここ数年間で多くの問題に直面した大銀行に警鐘を鳴らした。

編集:Samuel Jaberg、仏語からの翻訳:横田巴都未、校正:ムートゥ朋子

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