ベネズエラの政情不安がスイスにも波及している。首都ベルンと国際都市ジュネーブにある2つの大使館が、ともにベネズエラを代表すると主張している。
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ベルンにあるベネズエラ大使館外部リンクは昔からベネズエラ政府公式の外交使節を務め、ニコラス・マドゥロ大統領の管轄下にある。
一方、ジュネーブにある小さなベネズエラ料理店はスイスでの反マドゥロ勢力の集会場になっており、暫定大統領を自称するフアン・グアイド氏の権威を得て、第2の大使館を名乗っている。
スイスでは、2人の大使がともにベネズエラの合法的な外交代表だと主張して譲らない。
グアイド氏はマリア・アレハンドラ・アリステギエタ氏をスイスにおける彼の代理人に任命した。アリステギエタ氏はスイスの当局や権力者との人脈を広げようと、レストランの外を駆け回っている。
ベルンのカエサル・スヴェリオ・メンデス・ゴンザレス大使はベテラン外交官で、そのメッセージはシンプルだ。マドゥロ大統領の権力は絶大で、スイスのベネズエラ大使館も同様である、と。
苛立ち
だがジュネーブで暮らすベネズエラ人の間には苛立ちが募る。領事業務は公平でなく、基本的な備品が揃わず、野党支持者からの公式な申請には対応が鈍いとアリステギエタ氏は訴える。
ベルンのメンデス・ゴンザレス大使はこう反論する。「とんでもない。全ての申請を同様に取り扱い、全てのベネズエラ人を例外なく歓迎している。当然、時には人員が足りず、それに伴って事務処理の速度が落ちることはある。だが領事・大使館業務はきちんと行われている」
野党指導者のフアン・グアイド氏は1月、昨年実施された大統領選挙は正当性に欠けるため無効で、正統な大統領が決まるまでの暫定大統領を務める憲法上の権利が自分にあると宣言した。
グアイド氏は、米国やブラジルなど欧米約50カ国に正式な大統領として認められている。スイスは認めていない。ただ、国の人道危機が深刻化するなか、グアイド氏は政府機能を果たすのに苦慮している。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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