スイスの平和サミット閉幕 総意得られずも「ウクライナに真の平和は近づく」
スイスで開催されたウクライナ平和サミットでは、参加した約100カ国・国際機関のうち、84カ国が共同声明に署名した。しかし、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は、ロシアがいつ、どのように関与すべきかについての合意を得ることはできなかったと認めた。
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スイス中部ビュルゲンシュトックで開かれた「ウクライナ平和サミット」は16日、2日間の日程を終え閉幕した。アムヘルト氏は閉幕にあたる演説で、「共同声明外部リンクは変化が必要だという強いシグナルを送っている。公正で永続的な平和のための共通のビジョンがある」と述べた。共同宣言には、原子力施設の安全確保、食料安全保障とウクライナの港へのアクセス、そしてすべての戦争捕虜の解放とウクライナから連れ去られた子どもたちの帰還などが明記されている。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、これら3つのテーマはロシアとの交渉のための「最低条件」に相当すると述べ、ウクライナ・ロシア政府間の意見の相違には、克服がより困難な分野が他に多くあることを示唆した。
声明に署名しなかった参加国には、サウジアラビア、インド、南アフリカ、タイ、インドネシア、メキシコ、アラブ首長国連邦が含また。出席者リストに「オブザーバー」として記載されていたブラジルも署名しなかった。
声明は、「すべての国の領土保全と主権の尊重の原則を含む国連憲章は、ウクライナにおける包括的、公正かつ永続的な平和の達成の基礎として機能することができ、また機能するだろう」としている。
アムヘルト氏は、参加者の「大多数」が声明に合意したことは、「外交が何を達成できるかを示している」と述べた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「約100カ国と国際機関を最高レベルで集結できたことは、スイスに外交手腕がある証しだ」と評価した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、会合での「平和への第一歩」を歓迎し、共同宣言は「国連憲章を尊重するすべての人が参加できる」ものであるとした。
しかし、サミット開幕当初の反応はやや控えめなものだった。ドイツ語圏スイス公共放送(SRF)のセバスティアン・ラムスペック国際特派員は、「57カ国の首脳級が参加した今回の会議への期待は控えめで、それを上回るどころか、それ以下だった」と評価した。
「開催国であるスイスにとって特に残念なのは、今のところ他の国で次の会談開催が予定されていないことだ。ビュルゲンシュトックでのサミットが和平プロセスを開始させたかどうかは、疑問の余地がある」
出席する意思がないと明言していたロシアは招待されなかった。ロシアはサミットは時間の無駄だとし、14日に独自の和平案を発表した。中国も欠席した。
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では、ウクライナの平和は近づいているのだろうか?フォン・デア・ライエン氏によれば、そうだ。「ウクライナに真の平和は近づいている」。しかし、真の平和は一挙に達成できるものではなく、そこに至るには忍耐と決意が必要だと強調した。同氏は会談後、「長いプロセスを必要とするものになるだろう」と語った。
「和平交渉ではない」
フォン・デア・ライエン氏は「これは和平交渉ではなかった。なぜなら、ロシアのプーチン大統領は戦争を終わらせることに真剣ではないからだ。彼は降伏を主張し、ウクライナ領土の譲渡を主張している。現在、占領されていない領土さえもだ」と述べた。
オーストリアのカール・ネハンマー首相は15日、「重要な収穫は、我々全員がここに集まり、意見を述べ、多くの異なる国や大陸が互いに話し合っていることだ。(…)これがこの会議の本質だ。平和と和平プロセスには時間がかかり、ミリ単位で取り組む必要がある」と話した。
共同声明でロシアのウクライナ侵攻を率直に非難することと、可能な限り幅広い支持を得られる文言との間でバランスを取ることが、サミットにおける外交上の駆け引きの一部となっていた。
分析家らは、戦争を主導し継続している国であるロシアが招待されていないため、サミットが戦争終結に向けて具体的な影響を与えることはないだろうと予測していた。ロシアの重要な同盟国である中国とブラジルは、共同で和平に向けた代替ルートを模索してきた。
サミットはまた、イスラエル・パレスチナの対立や国政選挙など他の多くの問題が世界的な注目を集める中、ウクライナ戦争に再び関心を向けることも目的としていた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、会議の両日に出席した唯一のG7首脳だった。米国のカマラ・ハリス副大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、日本の岸田文雄首相らは、数時間で退席した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は16日朝に帰国した。それでも代表団は協議を続けた。
トルドー氏は16日、カナダはウクライナ戦争の人道的被害に関する作業を進めるため、今後数カ月以内に外相会合を主催する予定だと述べた。
こうした前向きな発言にもかかわらず、依然として大きな相違が残る。ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は16日、プーチン氏が14日提示した和平交渉条件を不合理だと一蹴し、ロシアの要求に応じればウクライナは攻撃に対しさらに脆弱になると述べた。
「ウクライナは現在ロシアが占領している領土を放棄しなければならないだけでなく、ウクライナの主権領土も放棄しなければならない」とサリバン氏は述べた。同氏は、ロシアの提案ではウクライナも武装解除を余儀なくされ、「将来的にロシアの侵略に対して脆弱になる」と指摘した。
「責任ある国家は、これが平和のための合理的な基盤だとは言えない。これは国連憲章に反し、基本的な道徳観に反し、基本的な常識に反している」
一方、プーチン氏は、ウクライナとの話し合いを否定しているわけではないが、現ウクライナ大統領との交渉は否定している。ロシア国営タス通信の報道によると、ドミトリー・ペスコフ大統領府報道官は16日、「ウォロディミル・ゼレンスキー氏は、合意を文書で登録できる相手ではない。なぜなら、この登録は事実上違法だからだ」と述べ、「しかし、プーチン氏は何も拒否していない。国の憲法が定めている交渉の可能性を拒否しているわけではない」と話した。
今後はどうなるのか?ゼレンスキー氏は16日、スイスでの会議の後、すぐに第2回目の会議を開くべきだと述べた。準備には数年ではなく数カ月しかかからないと言い、一部の国がすでにそういったサミットを主催する意向を示していると付け加えた。ただ、声明には、次回会議についての言及はない。
編集:Balz Rigendinger、英語からの翻訳:上原亜紀子、校正:大野瑠衣子
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