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プーチン大統領の息子、スイスのルガーノで生まれていた

プーチン大統領とアリーナ・カバエワ氏
ウラジーミル・プーチン大統領とパートナー関係にあるとされるアリーナ・カバエワ氏 Sergei Chirikov / AFP

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の長男が2015年にスイスで生まれていたことが、ロシア政府に関係する人物の犯罪活動追跡専門サイト「ドシエ・センター」の調査で分かった。これまで憶測の域を出なかったが、匿名の情報筋の証言により確認されたと同サイトが報じた。

同サイトは4日、プーチン氏の長年のパートナーである元新体操選手アリーナ・カバエワ氏が2015年、スイス南部ルガーノの聖アンナ病院で長男を出産していたと報じた。プーチン大統領邸の使用人に証言を得た。

ドシエ・センターはまた、現在9歳、5歳になる2人の息子がロシア中部・ヴァルダイ湖畔の邸宅でどのような生活をしているのかについても報じた。

プーチン氏は2013年にリュドミラ夫人と離婚。カバエワ氏との関係については一貫して認めていない。

プーチン氏とカバエワ氏の関係、また息子たちの出生地については多くのメディアが注目してきた。スイスの日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングは2022年5月に掲載した記事の中で、夫妻には2人の息子がおり、長男はスイスで生まれたと報じた。しかしこの情報が公式に認められたことはなかった。

スイスは長い間、裕福なロシア人の出産場所として人気だった。スイスの私立クリニックが提供する質の高いケアが人気の理由だ。

swissinfo.chは以前、海外で出産するロシア人女性に関する記事で、ルガーノのクリニック「聖アンナ病院」がウェブサイト上で「ロシアのトップリーダーの子どもがここで生まれた」と宣伝していると報じた。ただ当時、プーチン氏の息子が実際にそこで生まれたかどうかは確認できなかった。

ドシエ・センターに証言した使用人の身元は、公的な情報源と銀行の明細書によって確認された。

プーチン氏の元顧問セルゲイ・プガチェフ氏もswissinfo.chのインタビューで、この件について触れている。「ロシアにいる誰もが、カバエワはプーチンの後妻だと知っている。彼女がスイスで出産したとしても至極当然だ。長男は外国で勉強している」

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カバエワ氏、スイスへ複数回旅行

この使用人の証言によれば、カバエワ氏は2014年に3回、ルガーノを訪れている。最後の訪問は聖アンナ病院に勤務するロシア人婦人科医、ナタリア・ティエボー氏を伴った。

「聖アンナ病院にはロシア語を話す婦人科医がいた。これはロシア人ビジネスマンにとって、出産国を選ぶ際の付加的な要素だったと推測できる」と、ドシエ・センターのジャーナリスト、イリヤ・ロズデストヴェンスキー氏はswissinfo.chのインタビューに答えている。

2015年春、カバエワ氏はこの病院で長男イワン君を出産したという。2018年、カバエワ氏は妊婦健診のために再びスイスを訪れた。翌年春、ティエボー氏はカバエワ氏の第2子出産のためモスクワに渡ったという。

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使用人の証言によると、ティエボー氏は30年前にロシアからスイスに移住し、現在はスイス国籍を取得済み。結婚し、パートナーの姓で働いていた。「ティエボー氏はプーチンと親密な関係を保っていた」といい、カバエワ氏の出産場所はプーチン氏自身が決めた。スイスの報道によると、ティエボー氏は2023年に死去した。

「プーチンの家族周辺関係者が、カバエワがルガーノで出産したと語った。さらに、我々はカバエワのフライトデータを入手し、彼女がティエボーを伴ってスイスに飛んだことを確認した。ティエボー自身も、カバエワの第2子出産予定時期にロシアに渡航していた」とロジデストヴェンスキー氏はswissinfo.chに語った。

スイス、ルガーノの聖アンナ病院。2015年撮影
スイス、ルガーノの聖アンナ病院。2015年撮影 Keystone / Ti-Press / Samuel Golay

孤立した生活を送るプーチン氏の子どもたち

ドシエ・センターは「イワン」「ウラジーミル」という息子たちの名前を初めて公表した。ロシア連邦保護局の保護の下、隔離されて暮らしているという。

息子たちは両親とはめったに会わず、他の子どもたちと会うのは休暇の時だけ。そのほとんどはカバエワ氏の友人の子どもたちだという。移動はプライベートジェットやヨット、装甲列車で、教育は家庭教師、スポーツトレーナー、ベビーシッターから受けている。

ほとんどすべての住居には、体育館やプール、時にはホッケーリンクまで擁するスポーツ施設が付く。水泳や体操は個人トレーナーが教えているという。

ロシアのウクライナ侵攻後は「友好的な」南アフリカ出身の教師が優先的に採用された。しかし英国、ニュージーランド国籍の教師もいる。こうした外国人教師10人の月給は33万~120万ルーブル(50万〜190万円)だという。

教師たちは、ロシア富裕層向けの斡旋機関イングリッシュ・ナニー・エージェンシーを通して雇われている。教育者は住居敷地外に出ることが禁じられている。求人広告には、サンクトペテルブルク地方の「隔離された場所に住む」家族と記載されている。ドシエ・センターの調査によると、教師の給与はMMCネットワーク(マイ・メディカル・センター、旧SOGAZ)のクリニックを通じて処理される。このネットワークを介し、大統領の友人や側近が健康診断を受けている。家庭教師との契約は形式上「翻訳者」扱いとなっている。

ドシエ・センターによれば、プーチン一家の仕事を得るのは極めて簡単だ。求人広告は一般公開され、誰でも応募できる。例えば、2024年初め、プーチン氏一家は当時4歳と8歳の息子2人に住み込みの英語教師を探していた。仕事は週5日、合計60時間で「他の教科を教える」「子どもたちの旅行に同行する」などの業務が含まれていた。給与は月7700ユーロ(約120万円)だった。エージェンシーはこの家族とは長い付き合いがあり、以前も英語とドイツ語の教師を何人か斡旋したと記載していた。

ドイツ語教師の一人であるソフィア・ボジッチ氏は、過去4年間で2530万ルーブル(月平均51万6000ルーブル)の給与を得ていた。1992年生まれのボスニア・ヘルツェゴビナ国籍で、オーストリアに住んでいた。勤務年数が他の同僚より長く、2023年7月にはMMCから約2億3380万ルーブルの融資を受けていることから、プーチン一族から厚い信頼を得ていたとされる。

「子どもたちがドイツ語を学んでいるのは父親の意志だ。プーチン自身がドイツ語を話せるため、子どもたちもドイツ語を話せるようになることを望んだ」とドシエ・センターのロジデストヴェンスキー氏は説明する。

一家は常に新しい教師を必要としており、その入れ替わりは一家とうまくやっていくことの難しさと関係していると、プーチン家のハウスキーパーの一人は言う。また特にウクライナ戦争以来はロシアで働くことを望む外国人の市場が限られているほか、隔離条件の厳しさも足枷になっているという。

編集:Virginie Mangin/gw、英語からの翻訳:宇田薫、校正:ムートゥ朋子

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