高等教育機関
スイスには大学や世界有数の工科大学など多数の高等教育機関があり、世界最高の教育水準を誇る。外国人が入学するには一定の条件を満たさなければならない。
スイスで高等教育への進学を希望する場合、大学や応用科学大学などの課程に進む。大学は主に基礎研究を行う一方、応用科学大学はより実務にフォーカスした応用研究を行う。
スイスには10校の州立大学と2校の連邦工科大学がある。中でも連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)は科学・工学分野で世界をリードする教育機関だ。その他、応用科学大学が9校、教員養成大学が14校ある。ジュネーブ国際開発高等研究所(IHEID)と通信制大学ユニディスタンス・スイス外部リンク(本部・ブリーク)も高等教育機関として名高い。
スイスの高等教育システムは欧州高等教育圏の構築を目指すボローニャ・プロセスに沿っており、バチェラー(学士)、マスター(修士)、ドクター(博士)の学位を取得できる。
高等教育予算の大部分(約9割)は州と地元自治体の公的資金で賄われているため、米英に比べスイスの大学は一般的に学費が安い。学士課程の教育はほとんどの場合、地域の公用語で行われる(ドイツ語、フランス語、イタリア語)。だが、修士課程以降では英語で行われるコースが増えてきている。
入学資格(外国人の場合)
入学資格は各大学が定める。入学希望者は出身国の教育機関の卒業証書や語学能力証明書などの出願書類を送付しなければならない。
大学は、出願者の後期中等教育(日本の高校に相当)修了証がスイスの大学入学資格(マトゥーラ/マチュリテ)に相当するかどうかを審査する。相当すると認められない場合、入学試験を行うのが一般的だ。職歴が必要な大学もある。また、出願者が学業に支障のない高い語学力を有しているかを確認するため、語学能力試験を実施する大学も多い。
最先端の研究機関
スイスには著名な研究機関も数多く存在する。スイスは研究開発費の対国内総生産(GDP)比が世界で最も高い国の1つだ。
科学研究は連邦が管轄する。スイス国立科学財団(SNF/FNS)外部リンクを通じて、哲学や生物学からナノサイエンスまで、あらゆる専門分野の主に基礎研究プロジェクトを助成し、年間約2万人の研究者を支援している。
また、スイスイノベーション促進機関(イノスイス)外部リンクを通じた研究促進も行う。イノスイスは民間部門や公的部門と連携した応用研究や新技術の開発を助成。スタートアップの起業も促進している。
スイスには世界的に有名な研究機関も多い。アールガウ州のパウル・シェラー研究所(PSI)外部リンクは自然科学・工学分野で欧州最先端の研究所の1つだ。
また、宇宙分野の研究でも世界に知られる。スイス人科学者2人が1995年、太陽以外の恒星の周りを回る「系外惑星」を世界で初めて発見。2019年のノーベル物理学賞受賞につながった。
セルン(CERN)の名で親しまれるジュネーブの欧州合同原子核研究機関外部リンクは何十年にわたり世界中の研究者を受け入れてきた素粒子物理学の研究拠点だ。宇宙の起源を解き明かそうとしている。特に大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で知られる。
関連リンク:
- スイスユニバーシティーズ外部リンク:スイスの大学の統括組織
- 連邦教育研究革新事務局(SBFI/SEFRI)外部リンク
- スイス大学ランキングフォーラム外部リンク:各種の「世界の大学ランキング」とスイスの高等教育機関の順位
- スタディ・イン・スイス・プラス外部リンク:スイスの高等教育機関への入学を希望する外国人向けポータルサイト
仏語からの翻訳:江藤真理
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