グリンデルワルトで結婚式
風光明媚な場所で結婚式を挙げたい。こうした希望をかなえるのがベルン州のアルプス地方、グリンデルワルト。日本から年間およそ40組がここで結婚式を挙げる。
海外には日本人向けにアレンジされた結婚式のパッケージが沢山ある。お城や豪華なリゾートホテルでの挙式も可能だが、大自然に祝福されたいと望む人たちはスイスを選ぶ。
フォトギャラリー上で6月末、グリンデルワルトで行われた結婚式の模様をリポートしました。こちらもご覧ください。
ベルン州、インターラーケンからさらに山に入ったグリンデルワルトの村から、ゴンドラで30分ほど上がるとフィルスト山(First)の頂上近くの終点に着く。近くに見えるのはモダンなデザインのチャペル。ここで日本人は、結婚式を挙げる。
言葉が分からなくとも
結婚式を仕切っているのは、グリンデルワルトにある高級ホテル。ゴンドラの経営会社と提携し、フィルストの頂上近くに5年ほど前にチャペルまで作った。以前、地元にあったキリスト教教会セント・ペトロネラ・チャペルにちなんで同じ名前が付いている。しかし、宗教的な面で地元との確執があり、当初計画されていた鐘塔はない。チャペルと名前が付いているが、宗教とは関係がない。現在は日本人向けの結婚式のほか、冬はスキーヤーに解放されたり、子どもたちの遊び場にもなる多目的ホールである。
結婚式も宗教色は一切なく、法律上の結婚手続きもここでは行われない。結婚式と呼ばれているセレモニーを仕切るのは、ホテルの従業員。ベルン地方の民族衣装を着てのサービスだ。「愛は見詰め合うものではなく、二人で作り上げるものなのです。お互いの愛を深く強くすることを誓いますか」と問うのが、セレモニー・マスターの役割だ。夫妻はドイツ語は分からないが、はじめから終わりまで日本語の通訳が付く。「言葉が分からないことは気になりません。結婚式では、心から出た祝福の言葉で祝ってもらえることが大切」と新郎の三浦満博さん(35歳)。「はい、誓います」と宣言した新婦の真理さん(34歳)の目は、心持ち涙で赤くなっていた。
三浦夫妻は日本では内輪のお披露目のみで、結婚式はしない。挙式に日本から参加した両家の両親も「若いふたりは、日本での結婚式は無駄だと考えているようです」と当人が幸せになれるならと、判断を任せたという。
ハイジのイメージぴったり
「山が近くもなく遠くもないところに見える。緑の牧場にシャレーの窓辺には花。白い山に牛とヤギがいるという風景が見渡す限りに広がって、ハイジの国らしい要素がすべてここに、まとまってあります」グリンデルワルトは自然が好きな二人の期待を裏切らないと言うのは日本語観光局の安藤康代さん。
三浦夫妻は何度も海外旅行の経験がある。結婚式は海外でと思っていたが、スイスを選んだのは、以前スイスをバイクで旅行した時に「アルプスの風景を見て不思議な感覚に陥った。アルプスには独特の美があると思ったから」という。親孝行をしようと、両家の両親も誘った。
晴天の日は、高山植物が咲き乱れる緑の牧場を前景として、雪をかぶったアイガーが見える。雨が降ったり曇りになってしまうか晴れるかは「一種の賭けです」と安藤さんは言う。
グリンデルワルトでの挙式
費用はおよそ25万円
アルプホルン奏者、ヨーデル歌手などのオプションもある。
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