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「人々のまなざしに心を打たれる」 写真家マルセル・イムザンド氏が死去

写真家のマルセル・イムザンド氏が11日、ローザンヌで死去した。88歳だった。ここでは、2011年に彼のアトリエを取材した映像を振り返り、著名人の肖像写真で名を知られていた故人を追悼する。(Archives RTS/swissinfo)

16日、イムザンド氏に最後の別れを告げる葬儀がローザンヌで執り行われた。著名なスターから無名の人たちまでを写した、印象的な肖像写真で名を知られた写真家だった。報道写真家でもあり、田舎の生活や風景にもカメラを向けた。その数々の作品は、現在ローザンヌのエリゼ写真美術館の手に委ねられている。

偉大な写真家でありながら、肖像画家、そして光を写し出す詩人ともいえよう。また、社会的でジャーナリスティックなルポルタージュも手掛けたイムザンド氏は、葡萄畑で有名なラヴォー地区で18世紀から行われてきた伝統行事「フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)」の作品2点を含む80点近くの本の出版にも関わった。

写真という芸術を知り尽くしたこの写真家は、フラッシュや照明を使わず、作品に一切加工することもなかった。独学で写真家になったが、その才能と実力で次第に周囲から認められるようになり、多くの著名人と出会い写真を撮ってきた。ローザンヌ・ボーリュ劇場の公式写真家や、国際オリンピック委員会(IOC)のカメラマンを務める傍ら、米ジャズ歌手ニーナ・シモン、シャンソン歌手のジャック・ブレルやバルバラ、シンディ・クロフォードなどのまなざしにもレンズを向けた。

振付家でダンサーのモーリス・ベジャールとも深い親交があった。

著名人らと仕事をする一方で、イムザンド氏は無名の人々の写真も撮り続けた。代表作には、「Paul et Clémence(ポールとクレモンス)」「 Luigi le berger(羊飼いのルイジ)」「 Les frères(兄弟)」がある。

「道を行く羊飼いのルイジ、1990年」の写真
「道を行く羊飼いのルイジ、1990年」 Marcel Imsand/Fondation Pierre Gianadda/Musée de l’Elysée

マルセル・イムザンド(Marcel Imsand)

1929年9月15日、フリブール州プランジー生まれ。職人の父とチョコレート工場に勤める母を持つ。結婚し3人の子をもうけ、35歳で写真家として生きる決意をし、ローザンヌに居を構えた。

(仏語からの翻訳・由比かおり)

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