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スイスの「雅子さま」報道を見る

スイスでも良く知られる日本の皇室。雅子さまの健康状態を心配する報道が相次ぐ。 Keystone

皇太子さまが「雅子のキャリアや人格を否定するような動きがあった」と発言したことに関連し、スイスの各新聞はプリンセス・マサコの健康状態を次々と取り上げて報道した。民間の出身で元キャリア・ウーマンの雅子さまにとって、「世界最古」の歴史を持つ皇室がいまだに保持するしきたりに従うことの難しさを説明すると共に、英国の故ダイアナ妃と比較する記事などが目立った。

以下、ドイツ語圏とフランス語圏の新聞の記事から紹介する。

王家や貴族を持たないスイスだが、ヨーロッパ諸国を始め世界各国の王家、貴族などに対する関心は高い。美智子皇后は2002年9月に国際児童図書評議会(IBBY)創立50周年記念大会へ出席のためバーゼルへ単身で来訪したが、その人柄はスイスの国民にも感動を与えたことから大変有名になった。また、雅子さまはキャリア・ウーマンだったと知っている人も多く、現在、困難な生活を強いられているらしいとことに対して同情する人もいる。

英国と比較

 ドイツ語圏の一般紙、ターゲスアンツァイガーは6月10日付で、「2600年も続いている王朝のしきたりに、40歳のプリンセスが馴染むのは難しいらしい。愛子さまとの公園デビューも侍従には受け入れ難いことだった」と雅子さまの生活は窮屈であると説明し「お世継ぎ問題では、女系の天皇を認めるかどうかという問題で、宮内庁内や関係者の意見が二分されている」と書いた。

 同じくドイツ語圏の日刊紙、ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングの日曜版「NZZゾンターク」は5月23日付で、「キャリア・ウーマンの雅子さまのご成婚の際、日本国民の誰一人として雅子さまが病気になり、眠れない夜を過ごすなどということは想像しなかっただろう。しかし、初めて民間から皇室入りした美智子皇后が一人で苦しんだことを考えると、その苦労よりプリンセスの生活は比較的楽なはず」と二代続けての民間出身のプリンセスの心労に言及。「日本のメディアは皇室報道に際しては、控えめだ。英国では日常的となっている、王家、貴族に対する報道のあり方などありえない。雅子さまにとって故ダイアナ妃がお手本になることなど、当然ない」と日本の皇室が目指す姿を説明した。

菊は墓地に飾る花

 一方、フランス語圏のメディアは一般的に皇室に対して歯に衣を着せぬ報道をした。

 大衆紙ル・マタンは5月12日付で、「キャリアなどすべてを捨てて皇室入りしたのに、菊の紋章をもつ天皇家の跡取となる男子の誕生はいまだになく、家族の中でも孤独を味わっている。ヨーロッパ的になるかと思われた日本の皇室だが、そんな期待はできない」と書いた。また、一般紙の「トリビューヌ・ド・ジュネーヴ」、「VIP」と題される有名人の動向を扱う小記事で「雅子妃は修道院に囲われていて、まったく姿を見せない。日本の皇室は菊の紋章を持つが、菊は(欧州では)墓地に飾る花である」と皇室の閉鎖的な面を皮肉った。

 同紙はフランス革命時から、共和主義が主流のジュネーヴの文化を強く引き継いでいる。とはいえ、これでは言いたい放題といったところか。


スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

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