スイス写真財団が「見知らぬ知人外部リンク」と題する展覧会を開いている。
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ヴォー州ローザンヌのエリゼ写真美術館で来年1月7日まで開かれているこの展覧会は、異なる五つの旅のリポートで構成されている。スイスはどこから始まりどこで終わるのか?展示された写真は、個人を写したものから、単に理論的な概念を説明する手段としての作品までさまざまだ。
米国人写真家のシェーン・ラヴァレット氏の作品は、スイス人写真家のテオ・フライ氏が1939年のスイス全国展覧会に出展した写真の隣に展示されている。新旧の写真の相互作用は遊び心に富み、ラヴァレット氏が短い滞在時間で集めたスイスの印象と古い写真がモザイクのピースのように空間を彩る。ただ、フライ氏の写真とラヴァレット氏の作品との境界線ははっきりしている。
英国人のシモン・ロバーツ氏の作品はおそらく最も展覧会のコンセプトに近いものだろう。観光客で混み合う展望台を捉えた彼の大型写真は、スイスの観光産業の真髄を写し出している。
英国に住むメキシコ人写真家、アリンカ・エチェヴェリア氏はスイスを訪れ、人生で重要な局面を迎え、またスイスの生活環境下で暮らす若者たちと向き合った。彼女の写真を通じて、展覧会ではスイスの将来を垣間見ることができる。
チャン・シャオ氏は中国人写真家。彼は初めてスイスに来たとき、ライン川沿いを歩いて一部の人にとってはありきたりなスイスの姿を切り取った。
ドイツ人写真家のエヴァ・ライトルフ氏が写したのは国境だ。スイスはどこから始まりどこで終わるのか?写真において、この境界線はそれ自身が写真と写真の境目をなくすメタファー(隠喩)となる。彼女がスイスの国境沿いに撮った彼女の写真は無限のループを描く。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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ローラーさんの孫で編集者のハインツ・アンダーハルデンさんは、写真集を出版するに至った経緯を序文でこう振り返る。「祖母の戸棚の整理を手伝った時に、15年もの間、誰の目にも触れず戸棚の中で眠っている写真のネガを見つけた。祖父が残したこのネガを少しずつデジタル化し、最終的にその数は1万4千枚になった。『宝物を見つけた!』と思った」
「私の幼少期の記憶にある祖父は、いつもカメラを手に持っていた。祖父はいつも人生に喜びを感じながら生きていて、彼にとって写真を撮るという行為は、まるでその『喜び』を形として残しておきたいがための行為のように見えた。(中略)彼が撮った写真は、地元の人間だからこそ撮れたものや、撮影が許されたものが多い。この写真集に収められた写真は、育った土地や文化背景に関係なく、写真集を手にした人々全てに懐古の情を起こさせ、また各々の記憶や思い出を甦らせるきっかけとなるのだ」
(文・写真集「Heimat. Chez soi」/Scheidegger & Spiess出版より抜粋 独語からの翻訳・大野瑠衣子)
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