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世界の小澤、渾身の指揮で観客を再び魅了

教育に情熱を注ぐ小澤氏の指揮に、生徒も全身全霊で応えた Reuters

ジュネーブのヴィクトリアホールで7月3日開催された小澤征爾(せいじ)氏指揮の演奏会では、モーツァルトの曲が終了するやいなや観客の拍手が沸き起こり、それは鳴り止むことがなかった。

大病から回復した小澤氏だが、今年の海外での指揮はこのジュネーブと7月6日のパリ公演2回に限られているという。

小澤氏の指導に応える

 細身の体を黒い上着に包み、銀髪をなびかせながら舞台の上に現れた小澤氏をジュネーブの観客は割れるような拍手で迎えた。体調を心配して用意された椅子を一切使うことなく、小澤氏は軽やかで、かつ繊細、またポイントポイントに力のこもった動きで、モーツァルトの「ディヴェルティメント・ニ長調K136」を一挙に指揮した。

 世界から集まった優れたバイオリン、チェロなど、弦楽四重奏の奏者たちは10日間の講習会で小澤氏らに指導を受け、その成果の発表がこの演奏会になる。若い演奏家たちは、こうした指導に応えるように、全員神経を集中させ、力強く「弦を歌わせた」。

若手の教育は麻薬のよう

 小澤氏は、弦楽器の才能のある若い演奏家の教育に力を注ぎたいと、1992年に日本で、2005年にスイスで夏の講習会を開催した。こうしてスイスではジュネーブを事務局にして「スイス国際音楽アカデミー(IMAS)」が誕生。今年から名称を「スイス・小澤征爾国際アカデミー(Seiji Ozawa International Academy Switzerland)」に変えている。

 若手の教育に情熱を注ぐ理由を聞かれ「若い才能に出会ったら、それを育てたくてしょうがない。これは本能みたいなもの。また教え始めるとやめられない、まるで麻薬のようなものだ」と過去にスイスインフォのインタビューで語っている。

  また、弦楽四重奏を選ぶ理由も「四重奏は作曲家が、何の飾りもなく純粋に自分の個性を出し切れるもの。そこに本当の才能が発揮される演奏形式だからだ」と答えている。

 一方、ワークショップに参加した生徒たちも「10日間の練習なのに、まるで1カ月間、最高の指導を受けたような充実感がある素晴らしいものだった」と語っている。

2005年からスイスでスタートした、若い音楽家のための講習会。弦楽四重奏の練習が夏期に10日間行われる。昨年からロール(Rolle) で行われている。

1月から2月にかけ選考があり、世界から選ばれた24、5人の生徒が参加する。

小澤氏、元ジュリアード弦楽四重奏団創設者ロバート・マン氏、今井信子氏、原田禎夫氏、パメラ・フランク氏などが指導にあたる。

10日間の練習の後、コンサートを行う。今年は7月3日にジュネーブで行われ、小澤征爾氏、ロバート・マン氏が指揮をした。その後7月6日にパリのサル・ガヴォー(Salle Gaveau)で同じ公演が行われる。

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