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写真が普及し始めたころから、子どもたちはすでに人気の被写体だった。写真集「スイスでの幼少期」には、19世紀から今日までにスイスで撮影された子どもたちの写真が収められている。その中には、写真史における代表作や、スイス写真財団のコレクションから選び抜かれた逸品なども見られる。
最初に着たイブニングドレス、初めてお父さんのオートバイの後ろに乗せてもらった日。人生初の「手配写真風」ポートレート。子どもたちにとっては、たくさんのことが新鮮だ。それらの経験を忘れてしまわないように記録したい。これが、プロ・アマチュア問わず、子どもたちが被写体として写真家に愛され続けてきた理由の一つだ。
「子どもの写真には多くの場合、自分にはもう決して訪れることのない時代、必死にお願いすれば欲しいものが手に入った世界、現実よりも空想に満ちていた生活に対する強い郷愁の感情が染み込んでいる。どの子どもの写真も、こうした失われたユートピアの何かを写し出している」とスイス写真財団は、今回出版された写真集の前書きで述べている。
大半の写真が、常に動き回る子どもたちの一瞬をとらえたスナップ写真。唯一不自然に見えるのが、今ではあまり見られなくなった、堅苦しくポーズをとった子どもが写っている昔のポートレート写真だ。写真集には、スイス写真財団が国内各地から集めた、過去170年間の子どもたちの写真が掲載されている。
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戦後を映し出した写真集「フォトモザイク」
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写真集「フォトモザイク・スイス(Fotomosaik Schweiz)」は、これまでの社会の移り変わりを映し出す鏡であり、スイスの歴史を語る貴重な史料だ。収録された写真は経営破綻したチューリヒの写真エージェンシー、コメット・フォト株式会社が残したアーカイブから選び抜かれた。
スイス初の高層ビル、建設中の高速道路、1970年代の若者、サラダ菜を植えるユーゴスラビア出身の労働者たち、初めて世に登場したコンピューター…。この写真集には、20世紀後半に撮影された約90万点にのぼる報道写真と1万点の空撮写真から、著名なスイス人歴史家ゲオルグ・クライスさんが選んだ200点が収録されている。
これらの貴重なアナログ写真は、52年に設立したコメット・フォト株式会社のものだ。同社の報道写真家は自らを「コメット」と称し、最大手の新聞社や雑誌社に質の高い写真を提供していた。
80年代中頃、コメット社はゆるやかに衰退し始め、99年に経営破綻した。他の写真エージェンシー同様コメット社もまた、デジタル化にうまく対応できなかったからだ。同社が残した写真の数々は、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)図書館の写真アーカイブに保管されている。
(写真・ETHZ図書館写真アーカイブ、コメット・フォト株式会社 文・Gaby Ochsenbein、swissinfo.ch)
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公営住宅の集まるリベリュル地区、国際都市ジュネーブの別の顔
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ジュネーブ市郊外には、公営住宅・アパートの立ち並ぶ「リベリュル(とんぼ)」と呼ばれる地区がある。そこで住民の日常を追いながら3カ月を過ごしたスイス人写真家のクリスチャン・ルッツさんは、ジュネーブという国際都市の一画で繰り広げられる、「甘くてほろ苦い」日常を収めた一冊の写真集を出版した。
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スイスの名物ソーセージ「セルベラ」。それは、大人から子どもまでスイス国民なら誰もが愛する食べ物だ。ちょうど建国記念日の8月1日、このソーセージに「敬意を表する」写真集が出版された。 フランス語圏であろうとドイツ語圏であろ…
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