ローザンヌバレエ、目と耳を全開しあらゆるものを吸収する場
ローザンヌ国際バレエコンクール2016が、2月1日に始まった。準決勝までの4日間、ダンサーたちは毎日ぎっしり詰まったスケジュールをこなしながら、多くのことを学んでいく。それは、新しい動きや自分が持ってきたバリエーションの修正だけではなく、舞台のスタッフとの話し合いやネットワークなど、社会性をも吸収することを意味する。そんなある一日をスイスインフォのビデオカメラが追った。
登録を済ませた翌日の2月1日朝10時、すでに15~16歳の男子グループは、9人の審査員が並ぶ前でクラシックのパトリック・アルマンさんの指導を受けている。いかに早く先生の言ったことを理解して自分の身体の中に入れ、(ゆとりのある表情で)表現力を発揮しながら踊るかが試される。そしてこの即座の理解力、吸収力、柔軟性などが点数となってカウントされていく。
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同じ時間に、第1スタジオでは15~16歳の女子グループがコンテンポラリーの「やったこともない、難しい」動きをこなしている。はじめは皆戸惑い、やがて納得すると、笑顔が戻ってきて楽しそうに動いている。
そしてやはり同じ時間帯に、傾斜した舞台の上では、17~18歳の男子グループがウオーミングアップの後、一人ひとりクラシックのバリエーションを踊っている。その前に、音楽や照明を担当する劇場のスタッフと話し合いも行われた。ステージのどの位置から、どんなポーズでスタートするのかをきちんと説明する必要があったからだ。
明日2日と3日には、コンテンポラリーのバリエーションを作った振付家のゴヨ・モンテロさんが自らコーチする。このようなトップの振付家に指導を受けるという貴重な機会があるのも、このコンクールならではだ。
クラシックの指導の後にインタビューしたアルマンさんの次の言葉が、ローザンヌコンクールとは何か?を的確に表現しているように見える。「ここは、コスチュームを付けて踊り、終わったら帰る(普通のコンクールのような)場ではない。さまざまなプロの指導者と出会い、新しい動きと出会い、新しい世界の仲間と出会い、コンクールを支えてくれる人と出会い、目と耳を全開してあらゆるものを吸収していく場なのだ」
SWI swissinfo.ch
第44回ローザンヌ国際バレエコンクール
同コンクールは、ブランシュバイグ夫妻によって1973年に創設された。15~18歳の若いダンサーを対象にした世界最高の国際バレエコンクールで、若いダンサーの登竜門とも言われる。目的は伸びる才能を見いだし、その成長を助けることにある。
今年は、2016年2月1日から6日まで開催。昨年10月のビデオ審査で、世界19カ国から応募した300人中、71人が選ばれた。
このうち日本人は12人。韓国からの13人と中国からの4人を加えると、アジア勢は参加者の3分の1を越える。
(ビデオ・Carlo Pisani 文・里信邦子 制作・SWI swissinfo.ch)
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