荒川静香とゴージャスなひとときを
毎年冬に開かれる「アート・オン・アイス ( Art on Ice ) 」は銀盤の祭典だ。今年も1月31日にチューリヒで幕を開けた。
今年も世界各国からのスター・アーティストが目白押し。ステファン・ランビエールやサラ・マイヤーとともに、2年前にプロに転向した荒川静香さんも氷上で美しく舞った。
オープニングはキム・ワイルドの「キッズ・イン・アメリカ」。カラフルな衣装を身に着けたスケーターたちが氷上を所狭しと元気に滑る。その後、がらりと雰囲気が変わり、ピアノの生演奏とアイスランドのテノール歌手コルテスのバラードが会場を包む。
満足したらスケート靴を脱ぐ
荒川さんもピアノとテノールに合わせて優雅に銀盤を滑った。ナンバーは、トリノオリンピックで話題を呼んだ「誰も寝てはならない」。アート・オン・アイスの特長ともいえるフィギュアとライブのコラボでは、
「歌詞がなくメロディだけの曲で行う演技よりも感情を表現しやすい」
と荒川さんは言う。しかし、個性を幅広く表現できるクラシックも魅力的だと付け加える。
アート・オン・アイスの出演は、アマチュア時代の2005年以来、今回が2度目。大学3年生のときにアメリカでアイスショーを観た時からエンターテイナーとして活動してみたいと思っていた荒川さんは、2年前にプロに転向した。今はまだ「エンターテイナー1年生」で、表現の仕方や観客の楽しませ方など、学びたいことが次から次へと出てくるそうだ。
「観客に刺激や楽しみを与えられる間はまだまだ伸びると思います。現状で満足してはいけないと思うのです。満足する日がきたら、それはスケート靴を脱ぐ日じゃないでしょうか」
観客の寵児ランビエール
荒川さんはステファン・ランビエールとも懇意の様子。2005年にアメリカで長く同じショーに出ていたからだ。
「彼を嫌うスケーターはいないと思いますよ」
と、ランビエールは観客だけではなく、関係者の間でも人気が高いようだ。
そのランビエールは今回のアート・オン・アイスで新しい試みを行った。開演前のインタビューではかなり緊張していた彼だが、氷上では、競技で見られない4人のセクシーな女性たちと競演するランビエールを披露。得意の高速スピンに会場は大きく揺れた。
ショーは佳境に入り、大勢のファンが待ちかねたアイルランドのポップス歌手ロナン・キーティングが舞台に登場した。各出演者が彼の歌声に合わせて自分を表現する。荒川さんのナンバーは「If Tomorrow Never Comes ( 明日が来なければ ) 」。テンポのいい曲とともに次々と銀盤に現れては得意の技を披露していくアーティストたちに、会場は総立ちになった。
夜8時に開演したショーが興奮のうちに終了したのは10時45分。1人ひとりのアーティストの魅力、そして総合的なショーという「1粒で2度おいしい」夜である。
swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )
- 「アート・オン・アイス」は1996年1月19日、チューリヒ市の「ハレンスタディオン ( Hallenstadion ) 」で始まった。
- 毎年、世界中から有名なスケート選手や歌手がゲストに招かれ、ライブとフィギュアを同時に楽しめる。
- 2008年のチューリヒ公演のチケットはすべて完売。
- 2009年のチューリヒ公演は1月29日から2月1日まで。その他の公演や出演者は未定。
チューリヒ公演:1月31日から2月3日まで
ローザンヌ公演:2月5日、6日 ( チケットあり )
サンモリッツ公演:2月15日 ( 荒川静香さんは出演せず、チケットあり )
イギリス、シェフィールド:2月17日 ( チケットあり )
スケート:ステファン・ランビエール、荒川静香、カート・ブラウニング、サラ・マイヤー、川口悠子/アレクサンドル・スミルノフ他
音楽:ロナン・キーティング、キム・ワイルド、コルテス他
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。