1834年、2人の起業家がチューリヒ湖で蒸気船の運航を始めた。2世紀後も多くの乗客が出航する船の起こす風に髪をなびかせながら長い列をなしているとは、2人は予想すらしなかった。
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英国生まれ。1994年からスイス在住。1997年から2002年までチューリヒでグラフィックデザインを学ぶ。数年前に写真編集者に転身し、2017年3月からswissinfo.chのチームに参加。
湖上運輸が活発になったのは1960年代のことだ。連邦工科大学チューリヒ校の資料では3隻の新しい船が就航した記録が残っている。64年に就航した「ヘルヴェティア」号はチューリヒ湖の旗艦となり、50年にわたりその名をとどろかせた。当時1500人だった定員は、安全のための法改正で今は1000人になっている。
68年、チューリヒ湖汽船会社(ZSG)はモーター船15隻と外輪式蒸気船2隻を運航していた。人々は群れをなして船に乗り込み、近隣の村を訪れたり、夜には船のデッキで踊り明かしたりした。
衰えぬ人気
船の定員こそ減ったが、スイスの美しい湖を船で巡りたいという住民や観光客の人気は衰えない。2016年には公共交通機関に合わせて運賃が値下げされた。
ドーバー海峡を渡って
ヨハン・ヤコブ・レムリンとフランツ・カール・カスパーは1834年、最初の船舶を英マンチェスターの造船業者ウィリアム・フェアベアンから購入した。神話から「ミネルヴァ」と名付けられたこの船は、難しいドーバー海峡を渡ってヨーロッパ大陸に着き、ライン川を遡ってスイスへやってきた。8月にバーゼル州でいったん解体。各部品を馬で運搬し、チューリヒで再度組み立てた。
チューリヒ湖汽船会社(ZSG)の前身はチューリヒ蒸気船会社。1890年からチューリヒ湖で船舶を運航している。1957年に社名を変更した。
#swisshistorypicsシリーズでは、スイスの芸術・文化・スポーツにまつわる歴史的な出来事を写真で振り返ります。
写真は全て連邦工科大学チューリヒ校アーカイブ
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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