スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペルヌー氏は、再調査の必要性を強調する。
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ペルヌー氏はフランス語圏の大手紙ル・タン(7日付)インタビューで、「ベルジエ委員会は1996~2001年の5年間で、すべてに目を通すことができないほど多くの文書を発見した」と語った。
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ペルヌー氏のコメントは、UBSがナチス関連の口座について独立オンブズマンによる調査を進めるという報道を受けたものだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は4日、同行が2023年に買収したクレディ・スイス(CS)の顧客口座のなかに、1990年代に実施された調査では開示されなかったものがあると報じた。
WSJは、米国のニール・バロフスキー元米検察官が昨年12月に米上院に宛てて書いた書簡を入手。バロフスキー氏は21年、CSのナチス時代との関連を調査する独立オンブズマンとして任命されたが、後に解任された。
書簡によると、バロフスキー氏は当時「米国人ブラックリスト」と書かれた顧客口座のファイルを発見した。ナチス関係者との取引が疑われる口座の一覧で、過去の調査では秘匿された形跡があったという。
WSJによると、バロフスキー氏は1990年代にユダヤ人の休眠口座を調査したベルジエ、ボルカー両委員会の目には触れられなかった書類3600箱分を精査している。
バロフスキー氏はUBSによるCS買収後の23年12月、CSの独立オンブズマンに再任名された。
時間も協力もなく
ペルヌー氏は1990年代後半のベルジエ調査について、スイス連邦政府から委託された調査期限が2001年12月31日に迫っていたため、任務を完了させる「プレッシャーにさらされていた」とル・タンに語った。
時間だけでなく協力も欠けていた、と振り返る。「(情報の)隠蔽を疑ったケースもあったが、我々は知らされていなかったし、証拠も持っていなかった」
ペルヌー氏は、ベルジエ委員会は警察の査察官を派遣して検査することもできたが、「UBSのマイリ事件で証明されたように、文書が破棄される恐れがあった」と話した。1997年、UBSの前身スイス・ユニオン銀行がホロコースト時代の資産に関する文書を破棄していたことが、同行警備員だったクリストフ・マイリ氏の告発によって曝露された経緯がある。
「不完全な資料だった」
スイス連邦内閣(政府)・議会は1996年12月、ユダヤ人の休眠口座と第二次世界大戦中のスイスの役割を明らかにするため、ジャン・フランソワ・ベルジエ教授を長とする独立調査委員会を設置。02年3月に最終報告書が発表された。
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これとは別に、スイス銀行協会や世界ユダヤ人賠償機構、世界ユダヤ人会議が1996年、元米連邦準備理事会(FRB)議長のポール・ボルカー氏をトップとする独立調査委員会を設置した。99年12月、スイス銀行にホロコースト時代に開設された口座が約680万口座あったとする報告書を発表した。
スイス政府はベルジエ、ボルカー両調査委員会のメンバーに文書閲覧権限を法的に保証した。文書を破棄したり入手不能にしたりすることを禁止する政令を発した。
だがペルヌー氏は、銀行からベルジエ委員会への文書提出には長い時間がかかったと明かした。
「例えば、UBSは調査の完了間際になって新たな顧客情報を寄越してきた。我々はその時初めて、1997年に受け取った資料が不完全だったことに気づいた。UBSの資料庫を調べ直さなければならない、これは不完全だ、と」
英語からのDeepL翻訳・追記:ムートゥ朋子
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