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テントウムシの襲来

たった2年の間にスイス全土に広がったアジア産のテントウムシ Keystone

連邦経済省 ( EVD/DFE ) 管轄下の農業関連研究所「アグロスコープ ( Agroscope ) 」は最近、一般家庭などの建物がテントウムシの大群に襲われているがどうしたらいいかという問い合わせの電話応対におおわらわだ。

アグロスコープによると、このアジア産のテントウムシは越冬場所に移り住んでいるところだ。暖かい穏やかな日が続く秋、テントウムシの「じゅうたん」が建物の壁に敷き詰められることも珍しくない。

生物農薬としてのテントウムシ

 テントウムシの大群は人の健康には害を与えることは無いが、かといってあまりうれしいものでもない。越冬中には増殖も餌を食べることもしないので、建物に被害が出る心配は無い。

 しかし、「テントウムシを建物の中に侵入させないように」とアグロスコープは警告する。部屋の中でテントウムシを見つけた場合は窓を閉め、必要ならば侵入の可能性のあるドアや窓の隙間、換気扇などをふさぐ。群れを見つけた場合は掃除機で吸い取り、その袋をマイナス20度の冷凍庫で一日凍らせた後、家庭ごみとして処理する。屋内で殺虫剤は絶対に使わないこと。

 アジア産テントウムシはもともと1980年代から1990年代に害虫駆除用としてヨーロッパに輸入された。害虫のアリマキを駆除するためにビニールハウスや野外に放たれ、以来、テントウムシの中で最も多く見られる種となった。

 気候条件が適していたためアジア産テントウムシはヨーロッパに定着し、各国に広く分布した。2006年、スイスでは11の州で生息が確認されたが、そのわずか1年後にはすでにスイス全土に分布が広がった。

 調査の結果、これらのテントウムシは国産種を押しのけていることが明らかとなった。また、晩夏にはワイン用のブドウなど熟した果物に群れる。果物に直接の被害が出ることは無いが、ワインにはその影響が出るという。ブドウを収穫するときにはテントウムシもブドウと一緒に集めざるを得ず、そのままワインの製造過程に混ざり込んでしまうからだ。そうすると、ワインの味が大きく変わるということだ。

 現在のところ、テントウムシに対する効果的な生物農薬は無い。アグロスコープの研究プロジェクトでは、生物農薬としての外来種輸入に関する環境へのリスクをより詳細に査定するため、アジア産テントウムシが国産種に及ぼす影響を調査中だ。

swissinfo、外電

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