太陽光エネルギーを電力とした飛行機「ソーラー・インパルス」を操縦して世界一周したベルトラン・ピカールさんが、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の達成を側面支援するため、新たなプロジェクトを立ち上げた。1千件の優れた環境保全技術をまとめた「全集」を作る。ダボス会議に参加したピカールさんに意気込みを聞いた。
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2016年に燃料を全く使わないソーラー・インパルスで世界を一周したピカールさんが立ち上げたのは「効率的解決を目指す世界同盟(The World Alliance For Efficient Solutions)外部リンク」というベンチャー企業。世界中から環境保全技術関連のスタートアップ企業に向け、おのおのが持つ優れたイノベーションを今後募る。
集まったもののうち最も優れた1千件を、今年12月にポーランドで開かれる国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)外部リンクで紹介する。世界中に埋もれた選りすぐりの技術と、政治家やビジネスリーダーとを結び付ける狙いがある。
ピカールさんはスイスインフォの取材に「環境問題を解決する手段を、利益や雇用創出、経済成長、そしてこれらを実現しようとする政治的意思と結び付ける必要がある」と語った。
スイスは昨年、パリ協定に149カ国目として批准した。締約国は温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年のレベルから半減させなければならない。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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電気だけで駆動し、垂直に離発着する小さな飛行機。この近未来SFのような話が、近い将来に実現しそうだ。昨年、ベルトラン・ピカール氏と共に太陽光エネルギーだけを動力にした飛行機、ソーラー・インパルスで世界一周飛行を達成したアンドレ・ボルシュベルク氏は、電動飛行機の実用化の一翼を担っている。現在、電気飛行機で航空業界を変えようと望む企業は世界中にあるが、彼のスタートアップもその一つだ。スイスインフォの取材に対し、「航空業界は今、転換期にあると確信している」と語った。
電動飛行機「ソーラー・インパルス2」で世界一周飛行を達成して9カ月。ボルシュベルク氏は今、新しいミッションに挑戦している。
このスイス人パイロットは、5人の航空機専門家とともにスタートアップH55社(前身はHanger 55)を立ち上げ、クリーンな航空機(囲み記事参照)の未来に賭けて、現在ヴァレー州ローヌ谷のシオン空港で電動飛行機のテスト飛行を行っている。
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スイスの政治家と専門家たちは、トランプ米大統領が下した米国のパリ協定離脱決定に失望。一方で専門家は、世界で2番目に温室効果ガス排出量の多い米国にとってこの決定は、自国に損害を与えるだけだという。
「米国は地球への責任がある。米国が再生可能なエネルギーへの道を進み続けるかどうかはいずれわかる」とドリス・ロイトハルト環境・エネルギー相は話す。
ロイトハルト氏とスイス交渉団首席およびは連邦環境省環境局長を務めるフランツ・ペレ氏は、スイスが重要で有能な交渉相手を失ったことを「残念に思う」と話す。一方で、継続的なスイスのパリ協定へのコミットメントを強調。またペレ氏は、米国の離脱は長期的なグローバルな再生可能エネルギーへの移行には影響しないと、確信を表明した。
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