ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、2015年のノーベル平和賞を、チュニジアの民主化推進団体「国民対話カルテット」に授与すると発表した。独裁政権崩壊後のチュニジアで民主主義の発展に大きく貢献したことが授与の理由とされる。
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ノーベル賞委員会によると、国民対話カルテットが結成されたのは13年夏。政治家らの暗殺などが相次ぎ、チュニジアが民主化を成し遂げられるかどうかが危ぶまれていたときだった。
同団体は、活動分野や価値観の異なる四つの市民団体から構成されている。ノーベル賞委員会は、独裁政権崩壊後のチュニジアで民主化が平和的に進められたのは、同団体が議会を支え、新憲法が国民に認められるよう尽力したおかげだとしている。
ノーベル平和賞の授与式は12月10日にオスロ市庁舎で行われる。国民対話カルテットには、賞金800万スウェーデンクローナ(約1億1600万円)が贈られる予定。
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中国人のノーベル医学賞受賞、伝統中国医学を衰退させることになるか?
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スイスでは伝統中国医学が大人気だ。医療保険の対象としても特定条件のオプションで認められている。ところが、マラリア治療薬の発見で中国人の屠ユーユー(トゥーユーユー)さんがノーベル賞を受賞したために、伝統中国医学の評判が落ちるのではと懸念する声が上がっている。
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チュニジア 民主化への道はまるで綱渡り
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5月14~17日の4日間、チュニジアの首都チュニスで「現代直接民主制グローバルフォーラム」が開催された。フォーラムでは内容の濃い討論や、国際メディアでは報道されない生の情報が交わされた。旧来の権力者らがチュニジアで再び勢力を増している点について、高級官僚を含む同国の参加者は、監視を怠らないよう繰り返し注意を呼びかけた。
参加者は4大陸38カ国から訪れ、総勢450人にのぼった。チュニジアのハビブ・シド首相をはじめ、現役の閣僚や元閣僚らが進行役を務めた。
参加者は国会議員、政党の代表者、労働組合、市民団体の代表者、知識人、民主主義の活動家、ブロガーなどさまざまだが、「チュニジアの民主化実現への道のりは長く、険しく、困難がつきまとうものになるだろう」という点で全員が一致していた。
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直接民主制「参加型の民主主義は市民の意識にかかっている」
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2011年に始まった民主化運動「アラブの春」を経験した中東諸国の中で、唯一チュニジアだけが、ベンアリ独裁政権崩壊後、民主化プロセスに成功している。その政治改革に重要な役割を果たした法学者アイヤッド・ベン・アシュール氏は、国の歴史、コンセンサスと「参加型の」民主主義こそが、まだ不安定なチュニジアが成功したカギだと話す。
いまだに治安問題が残るものの、新憲法の制定、議会選挙の実施、新大統領の就任などを経て、チュニジアは着実に民主化への道をたどっている。法学者で「革命と政治改革、民主化に向けた目標を実現するための高等機関」の委員長を務めたアイヤッド・ベン・アシュール氏のジュネーブ滞在中に取材した。
アイヤッド・ベン・アシュール氏
1945年6月1日、首都チュニス郊外のラ・マルサに生まれる。公法とイスラム政策を専門にするチュニジア人法学者。
チュニス大学の法・政治・社会学部学長(1993~99年)を務め、万国国際法学会の会員、国際連合開発計画(UNDP)のアラブ諸国における人権の発展に関する報告書の作成を担当する、専門家委員会(2007年)のメンバーでもあった。
11年1月15日、国家政治改革委員会の会長に就任。2カ月後、委員会は「革命と政治改革、民主化に向けた目標を実現するための高等機関」に再編成される。11年10月の制憲国民議会議員選挙実施に向け重要な政治的・法的作業を遂行した。
swissinfo.ch: 2011年、政治改革を目指すこの高等機関の指揮をとられました。この特別な経験から得た教訓はありますか?
アイヤッド・ベン・アシュール:当時、私たちは革命期にあったと同時に、法が現実を完全には統治できない時期にあった。だが、そのような状況下にあっても、法を放棄することなど絶対にできない。
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民主主義へ向かうチュニジア 熟年政治家が成功のカギ
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地方分権を導入して権力の分散を目指すチュニジア。14日から17日まで首都チュニスで「現代直接民主制グローバルフォーラム」が開催される。そこで開会講演を行う予定のスイス人政治学者アンドレアス・グロースさんは、チュニジアの地方分権化は「まだ形だけで中身が全く伴っていない」と指摘する。
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チュニジア襲撃事件 民主主義が標的に
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チュニジアの首都チュニスで18日に起きた襲撃事件を受け、スイスのほぼ全紙が「チュニジアの民主化が標的にされた」と書いた。また数紙は、独裁政権に逆戻りし、「アラブの春」がこれで終了する危険性があると危惧した。
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「テレホンオペレーター募集(男女不問)」。これはチュニジアの新聞に掲載された、月600チュニジアディナール(約3万7000円)の求人広告だ。現地の雇用市場をみてみると、ヨーロッパの言語に精通した大卒者には、こうした広告…
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