伝書鳩、犬の糞、売春宿…　多種多様な発議内容

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「スイス軍に軍用動物を（伝書鳩イニシアチブ）」、１９９６年、不成立（RDB） RDB

イニシアチブ「軍隊なきスイスと包括的な平和政策を」、１９８９年、反対６４．４％で否決（Keystone） Keystone

イニシアチブ「湿原の保護に向けて　ローテントゥルム・イニシアチブ」、１９８７年、賛成５７％で可決（Keystone） Keystone

イニシアチブ「狼、熊、山猫（狼、熊、山猫を保護強化の対象動物に）」、２０１２年、不成立（Keystone） Keystone

イニシアチブ「建国記念日を休日に（８月１日イニシアチブ）」、１９９３年、賛成８６．３％で可決 Keystone

「過度な外国人の割合に反対する国民発案（シュヴァルツェンバッハ・イニシアチブ）」、１９７０年、反対５４％で否決 RDB

イニシアチブ「アブサンの禁止を」、１９０８年、賛成７１．５％で可決。２００５年に廃止 Keystone

イニシアチブ「ミナレット建設に反対」、２００９年、賛成５７．５％で可決 Keystone

イニシアチブ「売春宿の合法化を再び」、１９８５年、不成立 swissinfo.ch

「公共の場における犬の糞放置禁止法を」、１９８８年、不成立（Keystone/Martin Rütschi） Keystone

「週４４時間労働を求める国民発案」、１９５８年、反対６５％で否決（Keystone） Keystone

「サマータイムの廃止案」、１９８４年、不成立（RDB） RDB

「ベール着用禁止に賛成を（ブルカ禁止法）」、審議中（Keystone/Martial Trezzini） Keystone

「核兵器禁止を求める国民発案」、１９６２年、反対６５．２％で否決（RDB） RDB

イニシアチブ「年間１２日の自動車両・エンジン飛行機使用禁止日を」、１９７８年、反対６３．７％で否決（Keystone） Keystone

イニシアチブ「全国民に６週間の有給休暇を」、２０１２年、反対６６．５％で否決（Keystone） Keystone

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事実、スイスではこれまでに、国民発議によるあらゆる種類の事案が国民投票に掛けられてきた。１８９１年７月５日より連邦憲法に定められた直接民主制度は、政治をより身近なものにすることができる。しかしその主な役割は、少数派の権利を守り、疑問を投げかけ、そして多数派から答えを引き出すところにある。

単純な構造をした直接民主制が、いかに価値があるかを如実に感じられたのが、先日イギリスで行われた、EU離脱（ブレグジット）を問う国民投票だ。この国民投票はイニシアチブ（国民発議）外部リンクによる「下から」ではなく、キャメロン英首相による、つまり「上から」の提起によって行われた。この投票結果によって現在、イギリスとヨーロッパ全体は困難な状況に陥っている。

導入から１２５周年を迎えたスイスのイニシアチブ。基本、発議内容に制限はない。だからと言って、ただ直接民主制を分かりやすく特徴付けるものとしてこの権利を捉えては、あまりにも実際の姿と異なる。導入当初の１８９１年から、イニシアチブは連邦憲法をより発展させていくための原動力なのだ。また、政府、議会、そして有権者を守るガードレールにもなっている。

（文・Renat Kuenzi　翻訳・大野瑠衣子）