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欧州連合とロシアの狭間で揺れる中立国、モルドバ

2022年2月以来、ウクライナの隣国モルドバ共和国に国際的な注目が集まっている。モルドバにおける民主主義構築とウクライナ難民の統合に向け、スイスも多方面でバックアップする。

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モルドバ共和国はスイスとの共通点が多い。いずれも中立国で、4カ国語が話される内陸の小国だ。しかし決定的に違うのは、モルドバが欧州最貧国の1つであることだ。

地政学的に注目されるモルドバ

モルドバとウクライナに挟まれるように位置するトランスニストリア地域は、法的にはモルドバの一部だが、事実上は1990年のソ連崩壊時に親ロシア派が一方的に分離独立を主張した未承認の国家だ。国境を巡る紛争は1992年に停戦したものの、以来、ウクライナ西部の国境には約1700人のロシア兵が駐屯する。紛争終了からまだ30数年しか経たない今、ロシアによる隣国ウクライナへの侵攻で再び地域情勢の緊張が高まっている。

モルドバは、人口比で最も多くのウクライナ難民を受け入れている国でもある。水道など最低限のインフラさえ整っていない村々を抱える国が、多大な努力を払って欧州全体に関わる事態に対処している。

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スイスも支援 欧州最貧国モルドバのウクライナ難民大量受け入れ

このコンテンツが公開されたのは、 モルドバ共和国は人口比で最も多くのウクライナ難民を受け入れている。同国の難民支援にはスイス赤十字社をはじめ様々な国際組織が大きな役割を担う。スイス赤十字社が同国北部で携わる共同プロジェクトを取材した。

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EU加盟を巡る国民投票

モルドバでは10月、欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票が行われた。結果は賛成75万75票に対し反対73万8799票と、微差で賛成が上回った(50.38%)。

賛成派が優勢との事前予想を覆し、賛否が拮抗した。同時に行われた大統領選挙でも、親ロシア派が予想以上に健闘した。

swissinfo.chは国民投票の選挙運動期間中に現地を取材。ロシアとの緊密な関係を確信するモルドバ人とも話す機会があった。

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モルドバはEU加盟に賛成するか ロシアの影響は

このコンテンツが公開されたのは、 今月20日、中立国モルドバで、欧州連合(EU)加盟を巡る国民投票が行われる。ウクライナと国境を接する同国はロシア信奉者も多い。swissinfo.chは、このような状況下で直接民主制がどのように機能するのかを現地で取材した。

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公の議論では、EU加盟とNATO(北大西洋条約機構)加盟が混同され、同じような扱いを受けていた。ある親ロシア派のモルドバ人はオープンに取材に応じ、スイスのような連邦制を希望すると語った。

国民投票の僅差な結果を受け、票の買収疑惑が浮上している。英BBC外部リンクは選挙当日の10月20日、「票買収の証拠」について報じた。

再選を果たしたモルドバのマイア・サンドゥ大統領外部リンクは、「自由と民主主義に対する前例のない攻撃だ」とし、30万票が買収されたと主張した。

ドイツの国際放送ドイチェ・ヴェレ外部リンクなどのメディアによると、EU加盟に反対し、ロシア寄りの候補者に投票したモルドバ人は、ロシアから約100フラン(約1万7千円)を受け取った。貧しいモルドバではそれなりの金額だが、これで生活が安泰というわけでもない。

モルドバの大規模なディアスポラ

国民投票を実現させ、賛成派に勝利をもたらしたのは、モルドバの大規模なディアスポラ(在外モルドバ人)の存在が大きい。非EU加盟国のスイスを含む多くの西欧諸国に移り住んだモルドバ人は、EU加盟の国民投票に向け動員をかけた。

モルドバ共和国は、国民の3分の1が外国に住む。1991年にソビエト連邦から独立後、多くの人々が祖国を離れた。就職の見通しがないことや、高インフレ、インフラの欠如、汚職などがその理由だ。若者離れが深刻化する中、モルドバは国としての方針を定め、独自の「ディアスポラ担当事務所」を設置するなど、在外モルドバ人の支援に務める。同事務所のスイス支部で働くモルドバ出身のスイス人、ヴァレンティナ・セバンさんは、モルドバへの帰国やモルドバでの起業を目指すモルドバ人をサポートしている。

モルドバにおけるスイスの役割

スイスの開発協力もまた、在外モルドバ人と祖国とのつながりを強化するプロジェクトを立ち上げた。スイス外務省によれば、スイスはモルドバにとって「最も重要な二国間援助国」の1つだ。

スイスは義務教育科目の実現にも貢献した。「社会のための教育」という科目は、民主主義国家の一員として物事を批判的に考える姿勢を学ばせるのが狙いだ。

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モルドバ民主化を目指す学生たち スイスも資金援助

このコンテンツが公開されたのは、 「社会のための教育」はモルドバの学校の人気教科だ。これは最も進歩的な教育法の象徴であり、その大部分はスイスの資金によって賄われている。ロシア語の学校とルーマニア語の学校の授業現場を訪ねた。

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swissinfo.chはモルドバのルーマニア語・ロシア語学校の授業を取材。ある校長が、かつて批判的思考を教えてくれたのはソ連時代の歴史の先生だったと話していたのが印象的だった。だが社会的、政治的な出来事を批判的に判断するよう促す教師らの努力を当時理解していたのは、恐らくごく少数の生徒だっただろう。

スイスには、汚職にまみれたモルドバの元支配者が横領した資金の避難先として長年利用されてきたという暗い側面もある。最も有名なのは、2019年まで貧困国モルドバの政治を事実上支配していたオリガルヒ(新興財閥)のウラジーミル・プラホトニューク氏だ。同氏がレマン湖畔に所有していた3150万フラン(約54億円)の別荘は、国際制裁の対象になってから4年を経た今年9月、ようやく差し押さえられた。

スイス政府のモルドバ支援策

swissinfo.chに寄稿した調査ジャーナリスト、フランソワ・ピレ氏は、スイスとモルドバという2つの小さな中立国が今後も良好な関係を保つには、スイス外交と平行し、2国間の法的協力関係を改善する努力に掛かっていると分析する。

スイスとモルドバはこの2年で公式会談を4度行っている。スイスは財政的支援も強化した。こうした努力は、ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まって以来、同国の重要性が増したことと大いに関係している。

一躍、国際的な注目を浴びるようになったモルドバ――当面はその状態が続きそうだ。

編集:Mark Livingston、独語からの翻訳:シュミット一恵、校正:宇田薫

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担当: Benjamin von Wyl

虚偽情報は直接民主主義に対する大きな脅威だと思いますか?

専門家は、直接民主制は政策決定において市民に重要な役割を与えるため、虚偽情報はスイスなど直接民主主義国家に最も悪影響を及ぼすと指摘しています。

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