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国内法優位イニシアチブ、在外スイス人の投票行動は

レマン湖のジェット噴水
ジュネーブでレマン湖に立ち上るジェット噴水のように、国内法優位イニシアチブに反対票を投じた在外スイス人有権者の割合は79%にも上った Keystone

スイスの連邦憲法が国際条約に優先すると定める「国内法優位イニシアチブ」が問われた25日の国民投票で、国外に住むスイス人は国内在住者より多くの反対票を投じた。在外スイス人の投票行動に見られたもう一つの特徴は、スイスインフォを始めとするオンラインメディアを主な情報源にしていたことだ。

スイスの右派・国民党が提案した国内法優位イニシアチブ(国民発議)は、反対票が66.2%と大差で否決された。26州のうち在外スイス人の票を別枠で集計している12州の結果を見ると、在外スイス人が投じた反対票はさらに多かった。

反対派トップはジュネーブ州出身者

在外スイス人の反対票が最も多かったのはジュネーブ州で、反対が79.0%に達した。チューリヒ州が76.6%、ウーリ州が76.2%と続いた。

最も反対票が少なかったのはザンクト・ガレン州の68.1%。有権者全体の66.2%に次ぐ低さだ。

こうした結果は、国民党が発議するイニシアチブに対して在外スイス人は国内在住者よりも批判的な立場に立つ人が多い、というこれまでと同じ傾向を示す。

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ただこれまでと異なる現象も見られた。世論調査機関gfsベルンはスイスインフォの委託を受け、在外スイス人の投票行動を調査した。調査期間は11月23~25日。

その結果、在外スイス人の投票率は「控えめ」(gfsベルンの政治研究者ウルス・ビエリ氏)だったことが分かった。回答者9281人のうち、国外在住者はわずか284人だったのだ。

だが意見形成に関しては在外スイス人も国内在住者に引けを取らない。回答者の82%は、国内法優位イニシアチブに対して賛否を決めるのは「どちらかといえば簡単だった」と答えた。

祖国への眼差し

スイスの国内法と国際法が衝突した場合に、スイス国内法が優先するべきだと考える在外スイス人は35%に過ぎなかった。ビエリ氏は「国外に住むスイス人が祖国に対して投げかける眼差しは特別なものであることの証しかもしれない」と話す。

キャンペーンの影響も?

今回のイニシアチブに際して、発議者の国民党はこれまでとは異なり、扇動的なキャンペーンを控えるという戦略に出た。このため発議者が国民党であると認識している有権者はいつもより少なかったとみられる。

ビエリ氏は「賛成を呼びかけるキャンペーンが国民党の発するものだと判別できなかった在外スイス人の割合は、全体よりもわずかに高かった」と解説する。また国民党のキャンペーンと認識していなかった在外スイス人は、国内在住者よりも賛成票を投じる割合が高かったという。ただそれは元々の政治的意見が反映された結果である可能性もあり、キャンペーンとの明確な因果関係は分からなかった。

政府への支持は強い

国内・国外を問わずイニシアチブに反対票を投じた有権者に一致していたのは、欧州連合(EU)との枠組み条約の締結はスイスに利点があると考える人が88%に上ることだ。

またイニシアチブに反対した人の9割は連邦政府を信頼していると答えた。一方、賛成した人の76%は政府を信頼していないと答えた。

(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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