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アレッチュ氷河、ユネスコ世界遺産に

全長23kmの アレッチュ氷河、ユングフラウから。 Keystone Archive

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は13日、全長23kmのアレッチュ氷河とその周辺のアレッチュ・ユングフラウ・ビーツホーン氷河地域を世界遺産リストへの登録を認定した。

フィンランド・ヘルシンキで13日開催されたユネスコ世界遺産委員会による審議会で、アレッチュ・ユングフラウ・ビーツホーン地域の世界遺産リストへの登録が認められた。この地域は、総面積471平方キロメートル(ヴォー州401平方キロメートル、ベルン州70平方キロメートル)の、スイス・アルプスの3高峰、アイガー、メンヒ、ユングフラウを含む雪と氷と岩石に覆われた壮大な自然景観で、多様な生態系で知られる。中でも全長23km、氷体積約300億トンのアレッチュ氷河は、アルプスで最大の氷河だが、地球温暖化の影響で年平均30mから50mずつ後退している。世界遺産審議会に出席したスイス環境局のマインハルト・ケッテル氏は、「世界遺産への登録は名誉なことであると同時に、この地域を保存していく責任を負ったことになり、我々にとっては大きな挑戦でもある。」と語った。

世界遺産に登録されたことにより、この地域には厳しい保存条件が課せられるため、今後ケーブルカーやリフトなどの新設は不可能だが、既存のユングフラウ鉄道はそのまま残る。これまでの例によると、ある地域が世界遺産に登録されると訪れる観光客は30%は増える。スイス政府は世界遺産委員会に、増加する観光客への対策など今後3年間の氷河地域の管理計画を提出しなければならない。が、残念ながらユネスコ世界遺産のステータスには、気候変動に関するものは含まれておらず、最大の課題である氷河後退からアレッチュ氷河を守る対策は入っていない。

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