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スイスに進出する意味 ここから欧州へ ミノファーゲン

スイスの医療関連企業の一角に事務所を構え、ここから欧州へ進出を狙う篠沢友彦氏 swissinfo.ch

有名な大手製薬会社が軒を並べるスイスに日本の資本金3000万円の製薬会社が事務所を構えた。�潟~ノファーゲン製薬だ。

ミノファーゲンは肝炎に効く薬を製造し、日本を始めアジア諸国でも販売している。今後、欧州の新しい市場に乗り込むため篠沢友彦さん(72歳)が、チューリヒ市から車で10分の郊外にある湖畔のタルヴィール市に赴任した。

 肝炎の治療に使われる薬はインターフェロンが有名。ただし、発熱、全身倦怠、うつなど副作用は強く、肝炎の種類によっては効果はない。強力ネオミノファーゲンシーは、B型、C型肝炎の両方に効き、インターフェロン不応者に使われることが多いが、欧州ではまだ使われていない薬だ。

スイスから欧州へ

 篠沢氏がスイスに赴任したのは、EU市場への進出を狙ってのことだ。「メーカーですから国外の大市場に出たいと思う」からこそ欧州の市場調査は10年来行ってきた。

 薬を売るためには、市場となる国の認可を取らなければならない。認可のためには数多くの臨床実験が必要だ。臨床実験をしてもらうために、権威のある大学や大学教授などとのパイプも作らなければならない。臨床実験の結果を報告する書類を山のように積んで、ライセンスを申請する。しかし、許可が下りるかどうかは、それでも分からない。日本の本社が直接行うより、欧州事情に精通するスイスの会社に業務を委託する方が、商品の販売までの長い道のりをより短くできるとの判断があった。

 ミノファーゲンがスイスに事務所を置いたのは、本社と取り引きのあった会社が偶然スイスにあったからという。薬の開発業務を委託するにも、遠い日本からメールなどで連絡を取り合うより、直接気軽に話ができる距離にお互いが居るほうが良いという判断で、篠沢氏は派遣された。以前勤めていた大手製薬会社で、ドイツ、フランス、インドネシアへ派遣されたが、その豊富な駐在経験が買われた。

後で分かったスイスの良さ

 スイスに事務所を開設して半年にも満たないが、スイスのことが見えてきたという篠沢氏。「スイスはイメージの良い国なので、本社にとってはプレスティージになります」と言う。重工業、時計産業、チョコレート会社まであるすばらしい工業国。大手製薬会社は超一流。労働者は生真面目で、思ったことをやり遂げようとする意志は固い。マルチリンガルな人も多い。ビジネスに必要な通信、交通などのインフラも充実している。まるでスイス政府の外国人投資家向けのパンフレットのキャッチフレーズをそのまま並べたように褒める。よほどスイスがお気に入りらしい。

 ひとまずスイスに事務所を置いたが、将来EUでの認可が下りたら必要となるであろう代理店の拠点の選択肢として、スイスも候補として挙げられるだろうと言う。リップサービスも多く含んでいるのだろうが、実際スイス政府は、スイス市場に限らずEU進出の拠点としてのスイスもアピールしている。

swissinfo、佐藤夕美(さとう ゆうみ)

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