丸みを帯び、喉から胸にかけて白いのが特徴的なムナジロカワガラスは、鳴鳥の中で唯一泳ぎが得意な鳥だ。滝の中を飛んで潜り抜けることもできる。繁殖には澄んだ河川と、巣づくりできる静かな環境が必要だ。
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの鳥類保護団体の統括組織「バード・ライフ外部リンク」が2017年のバードオブザイヤーに選んだムナジロカワガラスは、川に潜って昆虫の幼虫などを捕食する。約15秒も水中に潜ることができ、水面に浮かび上がって素早く息つぎをすると、また水の中に潜っていく。
ふわふわとしたムナジロカワガラスの羽根は、極めて防水性に優れている。毛づくろいの際、大きく発達した尾腺から分泌される油分のおかげだ。尾はかなり短い。
このような特徴から、バード・ライフはムナジロカワガラスを自然の河川を奨励するのに「うってつけの大使」として、「バードオブザイヤー2017外部リンク」に選んだ。
生息地という視点から見ても適任だ。「居住地区に川や水路を取り入れることは容易だ。これは人間と自然の双方にメリットがある」とバード・ライフのクリスタ・グラウザー事務次長は言う。氾濫を抑えるために人間が河川に手を加えることは、静かな河川を好むムナジロカワガラスや他の動物のメリットになる。また、ムナジロカワガラスは河川の周辺に巣を作るため、橋の下に巣箱を置いてやることが繁殖の手助けになるという。
ムナジロカワガラス
体長:18センチ
食べ物:カタツムリ、エビ、昆虫の幼虫
繁殖期:3月上旬、雌は5~6個の卵を産卵。16日で孵化。生後6週間で自分の巣を探すようになる
生息地:河川周辺、低地地方から海抜2500メートルまでの区域に生息
保全状況:軽度懸念
(英語からの翻訳・シュミット一恵)
続きを読む
おすすめの記事
アルプス山脈に生息する両生類
このコンテンツが公開されたのは、
擬態の天才・アルプスサラマンドラは、他の両生類とは異なる珍しい方法で子孫を残す。また、寒さとも上手く付き合うサバイバル能力を持っている。
もっと読む アルプス山脈に生息する両生類
おすすめの記事
スイスの環境パフォーマンス、順調は誤解
このコンテンツが公開されたのは、
経済協力開発機構(OECD)は27日、スイスの環境対策に関する調査報告書を発表し、アルプスの国スイスが野生動物や生息地を保護する取り組みで成果を上げているとする認識は誤まっている、と指摘した。
もっと読む スイスの環境パフォーマンス、順調は誤解
おすすめの記事
濡れ衣を着せられた空の王者
このコンテンツが公開されたのは、
これを受け、1953年にスイス政府はイヌワシの保護に乗り出した。この複雑な過去を背負った珍しい鳥に人々が注目するよう、スイスの自然保護団体プロ・ナチュラ外部リンクは2001年、イヌワシをアニマル・オブ・ザ・イヤーに選ん…
もっと読む 濡れ衣を着せられた空の王者
おすすめの記事
自然保護か河川の利用か スイスが抱えるジレンマ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は過去、洪水防止策強化に多額の投資をし、また河川をより自然な状態に復元するため、26州全てに地表水の復元を義務付ける法律を発効した。しかし、河川の自然保護と、水力発電を進めたい考えの間で板挟みの状態となっているのが現状だ。
砂岩の上に幽霊のように伸びる城壁。廃墟となったグラスブルグ城のすぐ先で、森の小道はセンゼ川の岸辺に下りていく。スイスの緻密に管理された自然風景の中にあって、この辺りは珍しく野生が残っている。
「ここには非常に多くの種が生息している。植物も昆虫も魚も。本当に驚くべき場所だ。スイスの熱帯雨林と言ってもいい」と話すのは、世界自然保護基金(WWF)スイス支部で、「持続可能な水力発電プロジェクト」のリーダーを務めるジュリア・ブランドルさんだ。
もっと読む 自然保護か河川の利用か スイスが抱えるジレンマ
おすすめの記事
単なる邪魔者扱い?オオカミとの共存は無理なのか
このコンテンツが公開されたのは、
オオカミが姿を現すたびに、スイス人はとても感情的になる。絶滅したと思われていたこの捕食動物がスイスに戻って来て以来、人々は危機感、恐れ、怒り、そして魅惑といったさまざまな感情に直面している。
19世紀の終わり頃、反オオカミ運動の一環でスイス最後の野生オオカミが狩猟された。しかしオオカミは欧州の他の地域で生き延びていた。そして1995年、1頭のハイイロオオカミがイタリアからスイスに北上してきたことが確認された。現在では30頭以上のオオカミがスイスのアルプスに生息している。
オオカミが再来してからというもの、スイスでは保護をめぐって支持派と反対派の対立が続いている。ほんの数十頭のオオカミになぜここまで騒ぎ立てるのだろうか?ちなみに他の欧州諸国では、スイスと同じ規模の国でもオオカミが何百頭も生息している。ロシアやカナダに至っては何万頭という単位のオオカミが存在している。
もっと読む 単なる邪魔者扱い?オオカミとの共存は無理なのか
おすすめの記事
マーモット、アルプスに生きるスイスのマスコット
このコンテンツが公開されたのは、
マーモットはリス科の動物で、最大20匹の群れを作る。手の力が非常に強く、丈夫な爪で巣穴を掘る。繁殖ができるようになる3歳までは、両親や兄弟たちと暮らす。10月初旬から4月中旬まで冬眠し、その時期が近づくと体重は2倍に増え…
もっと読む マーモット、アルプスに生きるスイスのマスコット
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。