初めて制服を着た高校生
バーゼルの40人の高校生が、10月17日から6カ月間、制服を着て登校することになった。
これは、スイスで初めての試み。制服が、授業、生徒のアイデンティティー、浪費癖などにどう影響を及ぼすか試してみようというもの。しかし、「反スイス的だ」という批判がすでに、あがっている。
かっこいいカジュアルな制服で登校したのはバーゼル、レオンハルト高校の14~15歳の生徒たち。お試し期間が終わると、企画担当者、学校関係者、予算専門家などが、良い点、悪い点を分析する。もちろん、先生、生徒、父兄、それに心理学者たちも加わって意見を出し合った上での話し。企画担当者は、願わくは、バーゼル州全体で幼稚園から、制服にしたいという考え。しかしそれには、州の法を改正する必要がある。
一味違う制服の発想
バーゼルのタニア・クライン氏がデザインしたこの制服は、全14点で、組み合わせがきく。現代的で、若者にピッタリのデザインは、普通の制服のイメージ ( 紺のブレザーにネクタイ、白いシャツ ) からは程遠い。最終選択は、生徒を含む審査委員会が行った。 クライン氏の制服には、さらにトレーナー、カルゴパンツ、フードなどがついている。お値段は全部で、730フラン ( 約6万9000円 )。これで、衣服代が30%も節約できるという。ちなみに、プロジェクトに参加した生徒の父兄の負担額はほんの僅か。残りはスポンサーが支払う。
懐疑的
しかしスイスでは、概して制服に対して懐疑的。以前、チューリヒとソロトゥルン州の州議会は、制服に真っ向から反対した。ルツェルン州でも、今年2月、スイス国民党 ( SVP/UDC )の同じような提案が州議会で破棄された。
スイスの文化環境に適していない、生徒の人格やアイデンティティーが抑圧される、などが主な反対の理由。 一方、今回バーゼルでの提案を行った、国民党のヨゼフ・ロース氏は、子供たちのファションに関わりすぎる風潮を変えたいという。また、社会の階級性を目立たせないことにも役立つという。「皆が同じ格好をしているのですから、工場労働者の子供か、弁護士の子供か見分けがつかないでしょう」 だが、皆がこの意見に賛成という訳にはいかない。「制服は反スイス的です」と急進民主党 ( FDP/PLO ) の州議会議員、ダミアン・マイヤー氏。
バーゼルの日刊紙バーゼラー・ツァイトゥングは今年初め、制服に関して、インターネットフォーラムを始めた。「制服導入の背景は、よく理解できます。しかし私はどうも制服は苦手なのです。軍隊のイメージが浮かんでくるのです」とフォーラム参加者の一人は語った。
swissinfo、外電 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )
スイスの学校では、基本的な規則として制服を着用しない。
制服着用は今でも、イギリス、アイルランド、キプロスでは一般的。ヨーロッパ以外では、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、日本、その他多くの旧イギリス領の国で行われている。
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