大地震の傷あと残るハイチ
がれきの中から突き出る棒にかけられた頭蓋骨。倒壊した教会の真ん中に見える巨大な十字架。2010年の大地震が発生してから数週間後に現地入りしたスイスインフォのカメラマン、トーマス・ケルンが撮影した写真のうちの2枚だ。近現代史で最悪の被害をもたらした自然災害を映像で振り返る。
1965年スイス生まれ。チューリヒで写真を学んだ後、1989年からフォトジャーナリストとして活動。1990年、スイス人カメラマンの代理店Lookat Photosを設立。世界報道写真財団(オランダ)の世界報道写真コンテストを2度受賞したほか、スイスの奨学金を多数獲得。その作品は多くの展覧会やコレクションで紹介されている。
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ハイチは南北アメリカ大陸で最も貧しい国で、2013年の1人当たりの国内総生産(GDP)は820ドル(約9万7500円)。カリブ海のこの小さな共和国では、あらゆるインフラ(医療・教育・飲み水の確保など)が整っていない。
世界銀行によると、ハイチの人口1千40万人の約60%が1日2ドル未満、24%が1日1ドル未満で生活しているとみられる。ハイチは世界でも最も不平等な国でもある。政治的には、軍事クーデターで誕生した独裁政権が過去50年続いた。
1804年、フランスからの独立を宣言した「アンティル諸島の真珠」と呼ばれるハイチは、幾度となく自然災害に見舞われてもいる。
2010年1月12日現地時間の午後4時53分、首都ポルトープランスから25キロメートル離れた震源地で、マグニチュード7.0の地震が発生。何十万人もの犠牲者・被災者を出した。ポルトープランスでは国会議事堂や大聖堂をはじめとする多くの建物が倒壊した。
(文・Samuel Jaberg、写真・Thomas Kern)
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