50年前の今日、スイス西部リュサンにあった国内初の研究用地下原子炉で一部メルトダウン(炉心溶融)が起きた。スイス史上最悪の原発事故を写真で振り返る。
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リュサン原子力発電所は発電のほか「メイド・イン・スイス」の原子炉開発、また原子力を利用した実験施設を作る目的で作られ、1968年に稼働した。
しかし1969年1月21日、燃料の移送経路で水を張ったプール状の空間、原子炉キャビティで起きた事故により、それらの計画はすべて水の泡となった。圧力配管が破裂して瞬間的に電流が急増し、原子炉の誤作動と爆発を引き起こした。爆発当時の作業員が安全な場所にいたことは不幸中の幸いだった。また、地下原子炉だったことから環境や周辺の住民への被害も避けられた。
原子力事故の重大さを7段階で示す国際原子力事故評価尺度(INES)では当時「レベル5=広範囲な影響を伴う事故」と評価された。漏れ出して原子炉キャビティ内に溜まった冷却ガスの濃度は致命的だった。放射線量は測定器の目盛りを振り切り測定不可能になっていた。
問題は、地下原子炉が完全に密閉されていなかったことだ。放射能は100メートル離れた制御室にも広がった。原子炉に最も近い機械室では、タービンを停止しようとした作業員チームが被ばくした。現場に居合わせた人の話によると、除染シャワーが故障していたため、作業員らはお湯も出ない一時的な施設でシャワーを浴びなければならなかった。
国による調査結果が公表されたのは事故後10年が経ってからだ。スイス原子力協会(現・スイス核フォーラム)は、原発の管理に重大な過失は無かったと報告した。事故原因は圧力配管が腐食して破裂したもので、湿度が引き金となった。リュサン原子炉は廃炉となった。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
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