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宇宙探査 小国スイスの大きな貢献

新型望遠鏡ジェームズ・ウェッブ 宇宙で輝くスイスの技術

今月11日、 米航空宇宙局(NASA)が新型宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ」で初めて撮影した46億年前の銀河団「SMACS0723」を公開した。さらに130億年以上前の銀河も一部映し出されているという。遠くの銀河や誕生初期の恒星、薄暗い彗星(すいせい)などを検出できる最新の観測装置を支える技術を開発したのはスイスの研究チームだ。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡外部リンク(ウェッブ)は、これまで宇宙に打ち上げられた望遠鏡の中で最大かつ最も強力な望遠鏡だ。MIRIと呼ばれる中間赤外線観測装置は、ウェッブに搭載されている4つの観測装置の中で唯一、まだ研究例の少ない中間赤外線に含まれる波長領域5〜28マイクロメートルの光を観測できる。この波長領域の光で、例えば宇宙の果てにある銀河を検出できる。

より遠くにある星は、より速く遠ざかることが知られている。より速く遠ざかる星が発する光はより波長の長い赤色領域方向にシフトする。そのため、より長い波長の中間赤外線を観測できるMIRIを使えば、遠く離れた星や巨大ガス惑星を調べることができる。MIRIに装備されている分光器は、天体の物理・化学的情報を得るのに役立つ。

スイスはMIRIの開発プロジェクトに携わった。第一段階でパウル・シェラー研究所(PSI)が民間企業と共同で種々の部品を開発し、それを連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)素粒子物理学・宇宙物理学研究所(IPA)が引き継いだ。IPAは、米航空宇宙局(NASA)と共同でMIRIを開発した欧州コンソーシアムの一員だ。

MIRIの計測能力を最大限引き出すには、絶対零度に近いマイナス266度の極低温まで冷やす必要がある。ETHZのアドリアン・グラウザー博士(宇宙物理学)のチームは、極低温に適応する特殊なケーブルと、冷却時の汚染からMIRIを保護するカバーを開発した。極低温下でも正しく動作する部品の設計は、非常に困難な課題だった。

ウェッブは昨年12月25日に打ち上げられ、今年1月24日に地球から約150万キロメートル離れた第2ラグランジュ点(L₂)に到達。今月11日には最初の観測結果がプレビュー公開され、12日にはさらに全容が発表外部リンクされた。

ウェッブ宇宙望遠鏡プロジェクトにおけるスイスチームの役割はこれで完了するが、グラウザー氏は既に次のプロジェクトに取り掛かろうとしている。2027年にチリのアタカマ砂漠で運用開始予定の超大型望遠鏡(ELT)の赤外イメージング装置METISの監督責任者を、ETHZの上司であるサッシャ・クヴァンツ氏と共に務める。さらに次世代の宇宙望遠鏡の開発も既に開始している。この次世代望遠鏡で、地球のように生命が存在し居住できる可能性のある太陽系外惑星の発見を目指す。

独語からの翻訳:佐藤寛子

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