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氷河期を生き抜いた「住人」発見

ゾウムシの足はもぐらの足に似ているという ( 写真提供 : Hochschule Wàdenswil )

この「住人」とは、2万年以上もの間ひそかにバーゼルに住み着いていた「ゾウムシ」。

甲虫類に属するこのゾウムシは地下40センチメートルの深さに生息していたため、氷に覆われた氷河期にも、暖かい土に包まれ生き延びた。

 バーゼル大学の甲虫類の専門家アンドレアス・カウプ氏によれば、これは「世間をあっと驚かせるような発見」であった。この種の昆虫が発見されたのは中央ヨーロッパでは初めてのことという。

特徴

 この「バーゼル在住」のゾウムシは、ラテン語名を「ライモンディオニュムス・マルクェティ ( Raymondionymus marqueti ) 」という。体長2ミリメートルで目がなく、飛べず、地下40センチメートルの暖かい乾いた土の中に生息し、草食。

 今回の発見は偶然のできごとだった。故郷バーゼルの自然保護地域の植生を調べようとした地理学者の採集箱に、このゾウムシが混じっていたのである。それも大雨が降って地下深くまで土が柔らかくなっていたお陰である。

1番古い「住人」

 「ここが所蔵している中央ヨーロッパ甲虫類のリストには載っていませんでした」とバーゼル自然博物館のエヴァ・シュプレヒャー氏。同館のあらゆる文献やイタリアの標本などを調べた結果、専門家たちは「このゾウムシは非常に珍しいもの」という結論に達した。

 「環境にうまく適応していることや地下に生息する事実から判断して、最近バーゼルにやってきたのではないことは確実で、恐らく先史時代の名残の昆虫だと思います」とバーセル大学のカウプ氏。

 とにかく1万年前の最後の氷期以来バーゼルに生息するあらゆる動植物の中では1番古い「住人」であることは確かだという。

 ライモンディオニュムス・マルクェティではなく、固有の名称をつけるに値するか否かを判断するには、しばらく研究が必要という。バーゼルでの発見を入れたラテン名「ライモンディオニュムス・バジリエンシス ( Raymondionymus basiliensis ) 」になるか否か楽しみである。

swissinfo、外電 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

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