注目のスイスデザイン
スイス放送協会はこのほど、フランス語、ドイツ語、イタリア語放送のすべてのテレビ局を通し、スイスの優秀なデザインや若いデザイナーの作品を紹介する番組をスタートさせた。
番組「DESIGNsuisse(デザインスイス)」は、ポスター、本、印刷物、布、靴、家具などの日用品の中から、注目されるスイスのデザインを6カ月にわたって紹介する。
番組制作に当たり、まず、現在活躍する100人のデザイナーをリストアップ。この中からデザインの専門家と相談し、なるべく多くの分野から紹介できるように25人を選んだ。デザイナーによって番組を製作するディクターも異なり、それぞれの番組がユニークな構成となっている。放送と平行し、デザイナーを紹介する本とDVDも出版される。その中から、スイスインフォが放送を先取りし、5人を選んで紹介する。
家具から紙まで
番組に選ばれた人たちはスイスのデザイナーで、国内外で有名であることも条件の一つ。たとえばエンガディン出身のラモン・ツァンガー。エンガディン地方では高山に生えるマツの一種アルフェン(Arven)を使った伝統家具が有名。ツァンガーの作品はシンプルな中に装飾部分で伝統工芸を伺わせることで、時代を超えて通用するものとなっている。
ティチーノ州のアルベルト・ビアンダとパオロ・ヤヌッツィのグラフィック会社ザレッドボックス(Theredbox)は、ポスターや出版社、ギャラリー、美術館用のカタログを製作する。最新の技術をこなした上でのデザインが国内外で評価されている。
「私のデザインした靴に恋に陥るか、なにも感じないかのどちらかです」と言うのはアニタ・モーザー。スイスのデザイン賞を2度受賞したバーゼル出身の靴のデザイナーである。彼女の靴は大量生産ラインには乗らず、チューリヒ、ハンブルク、香港などのトレンディーなブティックでしか取り扱われていない。
超有名デザイナー
フライターク兄弟のバッグはすでにニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示されている「クラシック」だ。トラックの荷台カバーと安全ベルトを使ったリサイクリング素材。兄弟ふたりで始めた会社はいまや43人の従業員を抱え、世界各地に300の販売代理店がある。スイスのデザイナーとしての成功者の代表だ。
イェルク・ツィンツマイヤーの才能は「お金を作る」こと。現在使われているスイスフラン紙幣は彼のデザインによる。ツィンツマイヤーのアトリエでは、商品の命名、ロゴの製作、パッケージのデザインのほかマーケット調査まで手がける。30年来、ドイツの自動車メーカーBMWの仕事も請け負っている。多方面での活躍についてツィンクマイヤーの答えは「デザインは力がある」からだという。
まさしく、デザインが持つ力が、スイスのデザイナーの能力を伸ばしてくれているようである。
swissinfo、エティエン・シュトレーベル 佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳
DESIGNsuiss
1月26日からフランス語放送
1月29日からドイツ語、イタリア語放送で開始。
本、DVDも出版。
DESIGNsuissの放送を前に、上海では「スイス・デザイン・ナウ」展が開催され、スイスのデザインが中国で評判になっている。
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