電子政府の進み具合
スイス政府は国民が行政手続をインターネット上で行えるよう、あらゆる手続の電子化を進めようとしている。しかし、他国と比較して進んでいないのが現状である。連邦制度が邪魔をしていると指摘されており、州、地方自治体の協力が必要であるという。
スイスの電子政府は遅れている。国際レベルに上げようとこのほど、「e-Vanti.ch計画」で力を入れることになった。
カスパー・フィリガー財務大臣はルツェルンで講演し、行政の手続をインターネットで行えるようにする、電子政府の可能性と将来性を訴えた。
「電子政府は連邦制やスイス経済の強化にもつながり、国民へのサービスの向上になる」
とフィリガー蔵相。
安価で国民に便利に使ってもらえる質の高い電子政府にするためには、全国で通用するように規格を統一し、一度開発したシステムを全国に広げ利用することにある、と同相は指摘している。
電子政府よりビューロクラシーを縮小
このほどルツェルンで発表になった「e-Vanti.ch計画」は、連邦情報化戦略機関が中心となって進められている。なるべく短期間に、しかもなるべく少ない予算で電子政府の利用を高めることが目的で、利用者である国民や企業そして省庁が負担する事務にかかる時間や労力を軽減するのが目的。電子政府によりスイスの経済が強化され、未来に備えることができるほか、情報化が進んでいる国であるという観点から、スイスのイメージアップにもつながるという。
政府の高い目標
電子政府を進めるために「e-Vanti.ch計画」では、電子政府促進プロジェクトに関わる専門家の紹介やその仕事内容を知ることができるデータバンクを作り、相互にアイディアや情報を交換できるようにする。また、電子政府の利用率を定期的に測定することにしている。
2005年末までには、欧州諸国でも上位3割の中に入るよう、スイスの「電子政府度」を高めることが目標である。国際的にも先進国となるという政府の目標の達成は現状を見ると、困難ではないかとさえ思われる。というのも、スイス現在、欧州18カ国の中で15番目と遅れているからである。
遅れている理由は財務省によると、連邦制が邪魔しているためで、情報技術の遅れによるものなどではない。スイスでは州や自治体おける電子政府のレベルは高い。例えば、今回「e-Vanti.ch計画」が発表されたルツェルンのサイトを覗くと、欧州の政府のそれと遜色がないことがわかる。
スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)
スイスは電子政府を進め、国際的に先進国となるよう努力
ルツェルンで「e-Vanti.ch計画」が公表される
連邦政府、州政府、地方自治体の協力の強化
スイスの電子政府度は欧州18ヶ国の中で15位
政府は州と協力し電子政府化を促進する
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